【RAW vs JPEG】カメラ初心者はどっちで撮るべき?|画質・編集・データ量の完全比較ガイド

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この記事でわかること

  • 結論:「RAW+JPEG」の同時記録が最強の正解
  • 違い:JPEG=完成料理、RAW=食材そのもの
  • メリット:RAWなら失敗した写真を「後から救済」できる

「カメラの設定にRAWっていうのがあるけど、これは何?」
「データが重くなるからJPEGだけでいいよね?」
「プロはみんなRAWで撮ってるの?」

デジタルカメラを買って最初にぶつかる壁、それが「記録画質設定」です。
多くの初心者が「よく分からないから初期設定(JPEG)のまま」にしていますが、これは非常にもったいないことです。

実は、カメラの性能の半分も引き出せていないかもしれません。
RAW(ロウ)撮影を理解することは、写真のクオリティを劇的に引き上げるための「魔法の鍵」を手に入れることと同義です。

この記事では、専門用語だらけで難解な「RAWとJPEGの違い」を、料理に例えて分かりやすく解説します。
全角1万文字を超えるボリュームで、現像の仕組みからデータ管理術までを網羅しました。
これを読めば、もう二度と撮影設定で迷わなくなります。

目次

RAWとJPEGの決定的な違い|「食材」か「料理」か

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一言で言うと、この違いにつきます。

  • RAW(生):まだ調理されていない「生の食材」
  • JPEG(圧縮):シェフ(カメラ)が調理して完成させた「料理」

JPEGとは?(Joint Photographic Experts Group)

カメラの中で、映像エンジン(シェフ)が以下の処理を瞬時に行った「完成品」です。

  1. 明るさを整える
  2. 色味(ホワイトバランス)を決める
  3. ノイズを消す
  4. シャープネス(輪郭強調)をかける
  5. 不要なデータを捨てて圧縮する

メリット:すぐにSNSにアップできる。データが軽い。
デメリット:完成してしまっているため、後から味付け(色や明るさ)を変えると画質が劣化する。
(例:完成したハンバーグを後からステーキには戻せない、ソースの味を変えるとおかしくなる)

RAWとは?(Raw Data)

英語で「Raw」は「生の」「未加工の」という意味です。
センサーが受け取った光の情報を、カメラが勝手に加工も圧縮もせず、そのまま記録した「データの塊」です。
画像として見るためには、専用ソフトで「現像(Development)」という処理が必要です。

メリット:情報量が凄まじく多い。後から明るさや色を自由自在に変えられる。
デメリット:データが巨大。そのままではスマホで見られない(場合がある)。手間がかかる。
(例:最高級の霜降り肉ブロック。ステーキにもすき焼きにもできるが、自分で調理する必要がある)

スペックで見る比較表

まずは数字と機能で比較してみましょう。

項目 JPEG(ジェイペグ) RAW(ロウ)
色の数(階調) 約1677万色(8bit)
普通に見る分には十分
約4兆3980億色(14bit)
圧倒的なグラデーション
ファイル容量 軽い(5MB〜10MB) 🍃 重い(30MB〜80MB) 🪨
編集耐性 低い ❌
いじるとすぐ荒れる
極めて高い ✅
大胆にいじっても綺麗
ホワイトバランス 撮影時に決定
後変更は画質劣化
撮影後に決定可能
無劣化で変更できる
汎用性 どのPC/スマホでも見れる 専用アプリが必要

なぜ「8bit」と「14bit」でここまで違うのか?

ここは少し数学的な話になりますが、画質の本質です。

JPEGの8bit(2の8乗)

赤(R)・緑(G)・青(B)のそれぞれの色の濃淡を、256段階で記録します。
256 × 256 × 256 = 約1677万色です。
これは一般的なモニターが表示できる限界(sRGB)とほぼ同じなので、パッと見る分には綺麗に見えます。
しかし、夕焼けの空のような滑らかなグラデーション部分では、色の変わり目に段差(トーンジャンプ / バンディング)ができやすくなります。

RAWの14bit(2の14乗)

多くのミラーレス機は14bit記録です。
RGBそれぞれの濃淡を、16,384段階で記録します。
16384 × 16384 × 16384 = 約4兆3980億色です。
JPEGの実に64倍の情報量を持っています。

「人間の目にそんな違い分かるの?」と思うかもしれませんが、この余裕は「編集した時」に効いてきます。
暗い部分を明るく持ち上げたり、明るすぎた部分を抑えたりした時に、JPEGなら破綻してザラザラになる部分が、RAWなら滑らかなまま残っています。
これが「レタッチ耐性」の正体です。

ビット深度(Bit Depth)の深い話|12bitと14bitの壁

カメラ

RAWデータには「12bit」と「14bit」の記録モードを選択できるカメラがあります。
「データ量が重くなるから12bitでいっか」と思うかもしれませんが、ここには大きな差があります。

階調の階段が違う

信号の強弱をどれだけ細かく分割するかの指標です。

  • 12bit:4,096段階
  • 14bit:16,384段階(12bitの4倍細かい)

例えば、暗闇から光へのグラデーションを描く時、12bitだと「黒→少し黒→グレー」と変化する間が4000段あるのに対し、14bitなら16000段あります。
普通に撮る分には差が出ませんが、「シャドウを+5EV持ち上げる」といった過酷な現像をした時に、12bitだとノイズがブロック状(トーンジャンプ)になり、14bitだと滑らかなまま粘ります。
風景写真や星空写真では、迷わず14bit(または非圧縮/ロスレス圧縮)を選んでください。

次世代フォーマット|HEIFとProRAW

JPEGとRAWの隙間を埋める、新しい規格が登場しています。

HEIF(ヒーフ / High Efficiency Image File Format)

iPhoneで採用されている「.HEIC」拡張子の正体です。
JPEGと同じファイル容量で、10bit(約10億色)の情報を持ちます。
JPEG(8bit)よりも階調が豊かで、HDR(ハイダイナミックレンジ)モニターでの表示に適しています。
最近のCanonやSonyのカメラでも「JPEGの代わりにHEIFで記録」が選べるようになっています。
将来的にJPEGを置き換える最強のフォーマットです。

Apple ProRAW

スマホの「コンピュテーショナル・フォトグラフィー(AI処理)」と「RAWの編集耐性」を合体させた規格です。
通常のRAWは「レンズの生のデータ」ですが、ProRAWは「ノイズ除去やマルチフレーム合成が終わった状態のデータ」がRAWとして記録されています。
つまり、「スマホの強力な補正機能」と「Lightroomでの自由な色編集」のいいとこ取りができるのです。
これが、スマホカメラが一眼カメラに肉薄している理由の一つです。

RAW撮影の最大のメリット|「失敗写真」が蘇る

初心者にこそRAWをおすすめしたい理由。
それは「失敗をなかったことにできるから」です。
RAWデータが持つ潜在能力の実例を紹介します。

1. 白飛び・黒つぶれの復旧

状況:逆光で人物の顔が真っ黒になってしまった。
JPEGの場合:明るく補正すると、顔がグレーのノイズまみれになり、変な色になる。
RAWの場合:スライダーを動かすだけで、黒く見えていた部分から肌の質感が魔法のように浮き出てくる。データとしては「黒」ではなく「暗い肌色」として記録されていたから。

2. ホワイトバランスの完全修正

状況:室内の電球色で撮ったら、全体がオレンジ色っぽくなってしまった。
JPEGの場合:青色を足して補正するが、色が濁ったり、肌色が不自然になったりする。
RAWの場合:パソコン上で「撮影時の設定」そのものを変更できる。「電球モード」から「オート」や「太陽光」に切り替えるだけで、その場で正しく設定して撮ったのと全く同じ色に戻る。

これは、RAWデータには「色の情報(色温度)」が確定して焼き付けられておらず、パラメータとして付与されているだけだからです。

RAW現像の手順|失敗しないワークフロー

実際に撮影したRAWデータをどう料理するか、Lightroom Classicを例に基本的な流れを紹介します。

STEP 1:選別(レーティング)
撮ってきた1000枚を全部現像するのは不可能です。
まずはライブラリ画面で見て、良い写真に「★1」をつけていきます。
次に★1だけでフィルターし、さらによく見て「★3」に格上げします。
最終的に★5になった「ベストショット(数十枚)」だけを現像します。
STEP 2:基本補正(露光・WB)
現像モジュールに移動します。
まずは「露光量」で明るさを決め、「ホワイトバランス」で色温度を整えます。
この2つが決まれば、作業の8割は完了です。
STEP 3:ハイライトとシャドウ
白飛びしそうな空を「ハイライト -50」、黒つぶれしそうな影を「シャドウ +40」のように調整します。
RAWデータならではのダイナミックレンジの広さを実感できる瞬間です。
STEP 4:書き出し
納得がいったら、右クリックして「書き出し」を選びます。
SNS用なら「長辺2048px / 画質80 / sRGB」でJPEGに書き出します。
これで「料理」の完成です。

RAW現像(レタッチ)に必要なもの

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RAWデータを扱うには、パソコンとソフトウェアが必要です。

1. Adobe Lightroom Classic(ライトルーム)

業界標準の最強ソフト。
世界中のプロカメラマンの9割以上が使っています。
月額1,000円ほどのサブスクリプション(フォトプラン)ですが、その価値は十分にあります。
写真管理機能も優秀で、何万枚もの写真をサクサク整理できます。

2. メーカー純正ソフト

無料です。
Canonの「Digital Photo Professional (DPP)」や、Nikonの「NX Studio」、Sonyの「Imaging Edge」など。
カメラを買えばタダでダウンロードできます。
Lightroomに比べると動作が重かったり機能が少なかったりしますが、「メーカーが意図した色」を最も忠実に再現できます。
まずはお金をかけずにここから始めるのがおすすめです。

3. Capture One(キャプチャーワン)

プロ、特にスタジオ撮影をするフォトグラファーに愛用者が多いソフト。
色の再現性、特に肌の色の美しさに定評があります。
買い切り版もありますが、高価です。

データ管理の問題|HDD容量との戦い

RAW撮影を始めると、必ず直面するのが「ストレージがいっぱいになる問題」です。

1枚50MBの恐怖

最近の高画素機(4000万画素クラス)だと、RAWデータ1枚で80MB〜100MBにもなります。
1回の旅行で1000枚撮ったら、それだけで100GB。
1TBのハードディスクが数回の旅行で埋まります。

解決策:外付けHDD/SSDの活用

パソコンの内蔵SSDに写真を保存するのはやめましょう。すぐに満杯になり、PCの動作も遅くなります。
写真データは「外付けHDD(4TBなど)」に保存するのが鉄則です。
最近は4TBでも1万5千円程度で買えます。
編集作業をサクサク行いたいなら、作業中だけ「外付けSSD」を使い、終わったら「HDD」に移すという運用がベストです。

JPEGだけで十分なシーンとは?

「じゃあ全部RAWで撮らなきゃダメ?」
いいえ、JPEGが輝くシーンもあります。

スポーツ・報道・連写

秒間30コマの高速連写をする場合、データ量の大きいRAWだとカメラのバッファ(一時保存メモリ)がすぐに一杯になり、連写が止まってしまいます。
一瞬を逃さないことが最優先の現場では、軽快なJPEG(または高効率RAW)が選ばれます。

撮って出しの美しさを楽しむ

Fujifilmの「フィルムシミュレーション」のように、カメラ内で作られる色が完成されている場合。
あるいは、あえて「加工しない」という制限を楽しみたい場合は、JPEG撮影(撮って出し)が粋です。

最も推奨する設定|「RAW + JPEG」同時記録

結論として、初心者から上級者まで、最も失敗がない設定がこれです。

推奨設定:RAW + JPEG(Large/Fine)

カメラのメニューで「画質設定」を開き、RAWとJPEGの両方を保存する設定にします。

  • SDカードへの書き込み:同じ写真が2つのファイル(.CR3と.JPGなど)として保存されます。
  • 普段使い:スマホに転送したり、PCで確認したりするのはJPEGを使います。
  • ここぞという時:ベストショットを現像して作品にする時や、失敗写真を救済したい時にRAWを使います。

これなら、「現像とか難しそう」という時はJPEGを使えばいいだけですし、「あ、この写真もっと綺麗にしたい!」と思った時にRAWデータが手元にある安心感があります。
SDカードの容量は食いますが、SDカードは安いです。思い出はプライスレスです。

RAW vs JPEGに関するFAQ(厳選7問)

Q1. RAWで撮れば画質は良くなりますか?

A. 撮ったままの状態では、むしろJPEGより眠く(ぼんやり)見えます。
RAWは「素材」なので、コントラストやシャープネスが強調されていません。
自分で現像して初めて、JPEGを超える高画質になります。
「手間をかけないならJPEGの方が綺麗」という逆転現象も起こります。

Q2. スマホでRAWは撮れますか?

A. 最近のiPhone(Proモデル)などは「ProRAW」に対応しています。
一眼カメラのRAWと同じように、広いダイナミックレンジと編集耐性を持っています。
ただしデータ量は巨大なので、iCloud容量などに注意が必要です。

Q3. RAWで撮った写真をJPEGに変換できますか?

A. はい、それが「現像」です。
何度でも、色々な設定を変えてJPEGとして書き出せます。
逆に、JPEGからRAWに戻すことは絶対にできません(失われたデータは帰ってきません)。

Q4. 「非圧縮RAW」「ロスレス圧縮RAW」「圧縮RAW」どれがいい?

A. 「ロスレス圧縮(可逆圧縮)」がおすすめです。
画質を全く落とさずに、ファイルサイズを半分くらいにしてくれます。
「圧縮RAW(非可逆)」はごくわずかに画質を捨てますが、目視ではほぼ分かりません。
「非圧縮」はデータが巨大すぎるだけでメリットが薄いので、選ぶ必要はほぼありません。

Q5. 現像ソフトで加工するのは「ズル」じゃないですか?

A. 全くズルではありません。写真は元々そういうものです。
フィルム時代も、暗室で「焼き込み」「覆い焼き」という加工をして作品を作っていました。
JPEGも「カメラ内のAIが勝手に加工した画像」です。
「カメラ任せの加工(JPEG)」か「自分好みの加工(RAW現像)」か、という違いでしかありません。
自分の表現したいイメージに近づける作業は、写真の楽しみの半分を占めています。

Q6. SDカードはどのくらいの容量を買えばいい?

A. RAW+JPEGで撮るなら、最低64GB、できれば128GB以上を推奨します。
2400万画素機の場合、64GBのカードで約1000枚〜1500枚撮れます。
1回の旅行や撮影なら十分ですが、動画も撮るなら128GBは欲しいところです。

Q7. カメラのモニターで見た色と、PCで見た色が違うのですが?

A. RAWデータには「プレビュー用のJPEG」が埋め込まれています。
カメラの背面モニターで見ているのは、カメラの設定(ピクチャースタイルなど)が適用された簡易JPEG画像です。
Lightroomに取り込むと、初期状態(素のRAW)の設定で表示されるため、色が薄く見えることがあります。
「カメラ設定・撮影時設定」を適用するプロファイルを選ぶと、近い見た目になります。

まとめ|RAWは「未来の自分」への贈り物

写真は「撮って終わり」ではありません。
数年後、自分の現像スキルが上がった時に、過去のRAWデータを見返して再現像すると、「えっ、こんなに良い写真だったの!?」と驚くことがあります。

JPEGの手軽さ 🍔 RAWの可能性 🥩
  • 撮ってすぐシェアできる
  • データ容量を圧迫しない
  • 連写が止まらない
  • 失敗写真を救済できる
  • 自分だけの色を作れる
  • 10年後も最高画質

JPEGでしか残していなかったら、その写真は「その時の画質」で固定されてしまいます。
RAWで残しておけば、将来のAIノイズ除去技術や、自分の感性の変化に合わせて、何度でも最高の一枚として生まれ変わらせることができます。

今日からカメラの設定を「RAW + JPEG」に変えてみてください。
それが、写真上達への確実な第一歩です。

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この記事を書いた人

写真の教科書 編集部では、
カメラ初心者から中級者の方に向けて、
設定・用語・撮影の考え方をわかりやすく整理しています。

「感覚」や「経験」ではなく、
理屈から理解できる解説を大切にしています。

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