【ニコン一眼レフ】機種別スペック比較|D850・D780・D7500の選び方を数値で解説

ニコンの一眼レフカメラを選ぶとき、D850・D780・D7500・D5600など複数の機種が並び、どれが自分の撮影スタイルに合うのか判断に迷うケースが多く見られます。2025年にニコンが一眼レフの新規開発終了を公式に表明して以降、ニコン一眼レフは「完成された製品群」として中古市場でも安定した人気を保っています。この記事では、各機種のセンサーサイズ・画素数・AF性能・ISO感度・連写速度などのスペックを数値で比較し、被写体別の最適な機種選びを解説します。

📷 この記事でわかること
・ニコン一眼レフ主要機種(D850・D780・D7500・D5600・D500)のスペック数値比較
・フルサイズとAPS-Cの物理的な違いと撮影への影響
・被写体別(風景・ポートレート・スポーツ・野鳥)の最適機種と設定値
・2026年時点の中古市場価格と購入時のチェックポイント
目次

ニコン一眼レフの現在地|2026年のラインナップを整理する

カメラ

一眼レフの新規開発終了と現行機種の位置づけ

ニコンは2025年に一眼レフカメラの新規開発を終了し、ミラーレスZシリーズに開発リソースを集中させることを公式に表明しました。これにより、D850(2017年発売)・D780(2020年発売)・D7500(2017年発売)・D5600(2016年発売)・D500(2016年発売)が事実上の最終ラインナップとなっています。

新規開発は終了しましたが、一眼レフの光学性能自体が陳腐化するわけではありません。D850の4,575万画素センサーは2026年時点でも高画素機として通用する解像力を持ち、D780の2,450万画素は画素ピッチに余裕があるため高感度耐性に優れます。一眼レフは光学ファインダー(OVF)による遅延ゼロの視認性、バッテリー持ちの良さ(D780は約2,260コマ/充電)、Fマウントレンズ資産の活用という3つの利点を持ちます。ミラーレスへの移行を急ぐ必要がない撮影者にとっては、完成度の高い一眼レフを適正価格で入手できる好機です。

🔍 なぜそうなる?仕組みを解説
光学ファインダー(OVF)はミラーで反射した光を直接目で見る仕組みのため、表示遅延がゼロです。EVF(電子ビューファインダー)はセンサー→画像処理→液晶表示の過程で数ms〜数十msの遅延が発生します。スポーツや動体撮影で「見たまま」を撮りたい場合、OVFの遅延ゼロは物理的に優位です。

フルサイズ(FX)とAPS-C(DX)の違い

ニコン一眼レフはフルサイズ(FXフォーマット)とAPS-C(DXフォーマット)の2種類のセンサーサイズに分かれます。FXのセンサー寸法は約36×24mm(面積864mm²)、DXは約23.5×15.7mm(面積369mm²)で、FXはDXの約2.3倍の面積を持ちます。

センサー面積が大きいほど1画素あたりの受光面積が広くなり、高感度ノイズが少なくなります。D850(FX・4,575万画素)の画素ピッチは約4.35μm、D7500(DX・2,088万画素)は約4.22μmで、画素ピッチはほぼ同等です。しかしFXセンサーはピクセル数が多いためトリミング耐性が高く、DXセンサーは同じレンズを使った場合に焦点距離が1.5倍換算になるため、望遠撮影で有利です。風景やポートレートにはFX、野鳥やスポーツにはDXの望遠効果が活きます。ただしDXで広角撮影をするには、DX用超広角レンズ(10-20mm等)が必要になります。

Fマウントレンズ資産の価値

ニコンFマウントは1959年の登場以来65年以上の歴史を持ち、累計1億本以上のレンズが生産されたマウントシステムです。現行のAF-Sレンズに加え、MFのAi/Ai-Sレンズもボディ側で測光が可能(D850・D780・D500)です。

Fマウントレンズは中古市場で潤沢に流通しており、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gが約1.5万円、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRが約12-15万円で取引されています。同等のZマウントレンズ(NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S)は新品約27万円で、中古でも20万円前後です。レンズ資産を含めたシステム全体のコストでは、Fマウント一眼レフの方が大幅に安く構築できます。ただしZマウントへの移行時にはFTZマウントアダプター(約2.5万円)を使えばFマウントレンズをZボディで使用できるため、レンズ資産が完全に無駄になることはありません。

主要機種のスペック比較|D850・D780・D500・D7500・D5600

画素数・センサーサイズ・画像処理エンジンの比較

ニコン一眼レフ主要5機種の画素数は、D850が4,575万画素(FX)、D780が2,450万画素(FX)、D500が2,088万画素(DX)、D7500が2,088万画素(DX)、D5600が2,416万画素(DX)です。画像処理エンジンはD850がEXPEED 5、D780がEXPEED 6、D500・D7500がEXPEED 5、D5600がEXPEED 4です。

画素数が多いほど解像力は高くなりますが、1画素あたりの受光面積は小さくなり高感度ノイズが増加します。D850の画素ピッチ4.35μmとD780の5.94μmでは約1.9倍の面積差があり、D780の方がISO6400以上での画質が優れます。D500とD7500は同じセンサー・同じ画素数ですが、D500はEXPEED 5+バッファメモリ大容量で連写持続性に差があります。EXPEED 6(D780)はEXPEED 5と比較して画像処理速度が約1.3倍向上し、ライブビュー撮影時のAF速度改善にも寄与しています。

⚙️ 主要スペック比較表

機種 画素数 センサー 連写 重量
D850 4,575万 FX 7コマ/秒 1,005g
D780 2,450万 FX 7コマ/秒 840g
D500 2,088万 DX 10コマ/秒 860g
D7500 2,088万 DX 8コマ/秒 720g
D5600 2,416万 DX 5コマ/秒 465g

AF性能の比較|測距点数・動体追従・暗所性能

AF性能は一眼レフの撮影体験を最も大きく左右する要素です。D850とD500は同じMulti-CAM 20Kモジュール(153点AF・99点クロスセンサー)を搭載し、ニコン一眼レフ最高のAF性能を持ちます。D780は51点AF(15点クロスセンサー)ですが、ライブビュー時はZシリーズ同等のハイブリッドAF(273点)に切り替わります。

D7500は51点AF(15点クロスセンサー)でD780と同等のモジュールを搭載しています。D5600は39点AF(9点クロスセンサー)で、測距点数・クロスセンサー数ともに最小です。暗所AF性能はD850・D500が-4EV(中央1点)、D780が-3EV、D7500が-3EV、D5600が-1EVです。-4EVは月明かり程度の暗さに相当し、薄暮の野鳥撮影に対応できます。動体追従にはクロスセンサーの数が重要で、99点のD850・D500は被写体の不規則な動きにも対応しやすく、9点のD5600は中央付近でしか高精度な追従ができません。

高感度性能の比較|常用ISO感度と実用限界

常用ISO感度はD780が最も広くISO100-51200(拡張ISO50-204800)、D850がISO64-25600(拡張ISO32-102400)、D500がISO100-51200(拡張ISO50-1640000)、D7500がISO100-51200(拡張ISO50-1640000)、D5600がISO100-25600です。

カタログ上の最大ISO値は拡張機能で到達可能な数値であり、実用的な画質が得られる上限とは異なります。実用上の画質上限は、フルサイズのD780がISO6400-12800、D850がISO3200-6400、DXのD500・D7500がISO3200-6400、D5600がISO1600-3200です。D780は画素ピッチが5.94μmと広いため、高感度でのノイズが最も少なく、薄暮や室内撮影に有利です。D850は4,575万画素の高画素であるため画素ピッチが4.35μmと小さく、高感度ではD780に劣りますが、ISO3200までなら十分実用的です。D5600はEXPEED 4の世代差もあり、ISO3200以上ではノイズリダクションの処理で解像感が低下する傾向があります。

🎓 覚えておきたい法則
画素ピッチとノイズの関係: 画素ピッチが大きいほど1画素の受光面積が広く、同じISO感度でもノイズが少ない。画素ピッチ=センサー幅÷水平画素数。D780(5.94μm)はD850(4.35μm)の約1.87倍の面積で、理論上約0.9段分の高感度耐性差がある。

D850の特徴|高画素フルサイズの実力を数値で解説

4,575万画素が活きる撮影ジャンル

D850の4,575万画素は、8,256×5,504ピクセルの解像度を持ちます。A3ノビ(329×483mm)に350dpiで印刷した場合、トリミングなしで全画素を使い切る解像度です。風景写真でA2以上の大判プリントを制作する場合や、トリミングを前提とした野鳥撮影で有効です。

4,575万画素の解像力を活かすには、レンズ側にも十分な光学性能が必要です。AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDやAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRなどの大三元レンズであれば、画面周辺部まで4,575万画素に見合う解像を得られます。一方、安価なキットレンズ(AF-P DX NIKKOR 18-55mm等)ではレンズ側の解像力が不足し、画素数の恩恵を受けられません。DXクロップモード(APS-C相当の画角で約1,950万画素)を使えば、FXレンズで焦点距離1.5倍の望遠効果を得つつ、1,950万画素で十分実用的な解像度を維持できます。

裏面照射型CMOSセンサーの構造と利点

D850は、ニコン一眼レフで唯一の裏面照射型(BSI)CMOSセンサーを搭載しています。従来の表面照射型では配線層がフォトダイオードの上にあり、光の一部が遮られていましたが、裏面照射型では配線層をセンサーの裏側に配置し、光がフォトダイオードに直接到達する構造です。

この構造変更により、同じ画素ピッチでも受光効率が約1段分向上しています。4,575万画素という高画素でありながら、ISO64の低感度からISO25600の高感度まで実用的な画質を維持できるのは、BSIセンサーの恩恵です。D850のベース感度がISO64と低い値を持つのも、BSIセンサーの高い受光効率によるものです。ISO64はISO100より約2/3段低い感度で、日中の屋外でNDフィルターなしでもF2.8開放・SS1/2000秒程度のスローシャッターが可能になります。風景撮影でのダイナミックレンジの広さはD850の大きな強みです。

連写性能とバッファ容量

D850の連写速度はFXフォーマットで約7コマ/秒、MB-D18(縦位置グリップ)+EN-EL18b装着時で約9コマ/秒です。DXクロップ使用時は約9コマ/秒(MB-D18なし)で撮影でき、望遠効果と高速連写を両立できます。

RAW14bitロスレス圧縮での連続撮影可能コマ数は約29コマです。4,575万画素のRAWデータは1枚約50-60MBと大きく、バッファが約29コマで満杯になると書き込み待ちが発生します。XQDカード使用時の書き込み速度は約400MB/sで、バッファ解放までの時間は約4-5秒です。SD(UHS-II)使用時は書き込み速度が約250MB/sに低下し、バッファ解放に約6-8秒かかります。連写を多用する動体撮影ではXQDカードの使用を推奨します。RAW12bitに切り替えると連続撮影可能コマ数は約51コマに増加しますが、暗部のグラデーション再現がわずかに低下します。

📷 設定のポイント
D850で連写重視の撮影をする場合: DXクロップ+RAW12bit+XQDカードで約9コマ/秒・連続約170コマが可能。風景撮影ではFXフォーマット+RAW14bit+ISO64で最大のダイナミックレンジを確保。

D780の特徴|バランス型フルサイズの万能性

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EXPEED 6とライブビューAFの進化

D780はニコン一眼レフで唯一EXPEED 6を搭載し、ライブビュー撮影時にZシリーズ同等の像面位相差AF(273点)が使用可能です。光学ファインダー使用時は51点位相差AFですが、ライブビューに切り替えると瞳AF・動物AF・顔検出AFが動作します。

この二面性がD780の最大の特徴です。光学ファインダーではOVFの遅延ゼロと長時間駆動(約2,260コマ/充電)を活かし、ライブビューではミラーレス同等のAF精度を得られます。ライブビュー時の連写速度は約12コマ/秒(サイレント撮影)で、光学ファインダー使用時の7コマ/秒を上回ります。瞳AFの精度はZ6と同等で、ポートレート撮影でピント精度を気にする場面ではライブビュー撮影が有利です。ただしライブビュー撮影はバッテリー消耗が約3倍になるため、ライブビュー主体で撮影する場合はEN-EL15bを2本以上用意してください。

バッテリー持ちの優位性|2,260コマの実力

D780のバッテリー持ちは約2,260コマ/充電(CIPA基準・光学ファインダー使用時)で、ニコンフルサイズ一眼レフの中で最長です。D850は約1,840コマ、前機種D750は約1,230コマで、D780は約1.8倍の持続力があります。

この差はEXPEED 6の省電力設計と、EN-EL15bバッテリー(1,900mAh)の最適化によるものです。実撮影では、光学ファインダー使用・ライブビュー不使用・フラッシュ不使用の条件で1日約3,000コマの撮影が可能という報告があります。旅行やイベント撮影で予備バッテリーなしで1日を過ごせる計算です。ライブビュー撮影を併用する場合はCIPA基準で約990コマに低下しますが、それでも他機種と比較して十分な持続力です。冬季の低温環境(0℃以下)ではバッテリー容量が約20-30%低下するため、予備バッテリーの携行を推奨します。

⚠️ 初心者がやりがちな失敗
D780のライブビューAFが高性能だからとライブビューを常用し、バッテリーが半日で切れること。光学ファインダーとライブビューのバッテリー消耗差は約3倍です。通常は光学ファインダーを使い、瞳AFが必要なポートレート時のみライブビューに切り替える使い分けが合理的です。

D850との使い分け|高画素と高感度の選択

D850とD780は同じフルサイズでも性格が異なります。D850は4,575万画素の高解像度で大判プリント・トリミング耐性に優れ、D780は2,450万画素で高感度耐性とバッテリー持ちに優れます。

ISO感度の実用上限はD850がISO3200-6400、D780がISO6400-12800で、約1段の差があります。この差は室内スポーツや薄暮の撮影で顕著になります。風景撮影ではD850のISO64とBSIセンサーのダイナミックレンジが有利で、三脚+低ISO設定で最高画質を追求できます。ウェディング・イベント撮影では照明条件が変わるためISO感度を頻繁に上げ下げする必要があり、D780の高感度耐性が実用的です。両方の用途をカバーしたい場合は、D780をメインボディ、D850をサブボディとする2台体制が理想ですが、予算面で1台に絞るなら撮影ジャンルの比率で判断してください。

D500・D7500の特徴|APS-C機の望遠効果を活かす

D500の153点AF|一眼レフ最高の動体追従性能

D500はDXフォーマットながらD850と同じMulti-CAM 20K AFモジュール(153点・99点クロスセンサー)を搭載しています。AF測距点がファインダー画面の約80%をカバーし、フレーム端に近い被写体にもAFが追従します。

連写速度は約10コマ/秒で、200コマ以上の連続撮影が可能です(RAW14bitロスレス圧縮・XQDカード使用時)。D850の約29コマ、D7500の約50コマと比較して圧倒的なバッファ容量を持ちます。DXフォーマットの1.5倍クロップ効果と合わせると、300mm F4レンズが換算450mm F4として使え、野鳥やモータースポーツの追従撮影に最適なスペックです。AF追従感度を5段階で調整でき、手前に障害物が横切る場面での粘りや、被写体への素早い反応を撮影状況に応じて切り替えられます。D500は2016年発売ですが、2026年時点でもAPS-C一眼レフとして動体撮影性能で頂点に立つ機種です。

D7500のコストパフォーマンス|D500との差を見極める

D7500はD500と同じ2,088万画素DXセンサーとEXPEED 5を搭載しながら、価格はD500の約半分(中古約5-7万円 vs D500の約8-12万円)です。AF測距点数は51点(15点クロスセンサー)とD500の153点から大幅に減りますが、連写速度は8コマ/秒とD500の10コマ/秒に迫ります。

D7500で十分な撮影ジャンルは、運動会・少年野球・サッカーなど比較的予測しやすい動きの被写体です。51点AFの中央エリア(15点クロスセンサー)を使えば、直線的に接近する被写体への追従は実用的な精度で動作します。D500が必要になるのは、フレーム端の被写体を追い続ける場面(野鳥の飛翔、バスケットボールのカットイン等)です。また、D7500はカードスロットが1つ(SD)のみで、D500は2スロット(XQD+SD)を持ちます。仕事やバックアップが必要な撮影ではD500のデュアルスロットが安心材料になります。

⚙️ D500 vs D7500 比較

項目 D500 D7500
AF測距点 153点(99クロス) 51点(15クロス)
連写 10コマ/秒 8コマ/秒
バッファ(RAW14bit) 200コマ以上 約50コマ
カードスロット XQD+SD(2スロット) SD(1スロット)
中古価格(2026年) 約8-12万円 約5-7万円

D5600の入門機としての立ち位置

D5600は465gと最軽量で、バリアングル液晶・Bluetooth・SnapBridge対応という使いやすさ重視の仕様です。AFは39点(9点クロスセンサー)で上位機種と比較して測距点は少ないですが、中央付近で撮影する限りピント精度に問題はありません。

D5600の強みは軽さと価格です。ボディ中古価格は約3-5万円で、AF-P DX NIKKOR 18-55mm VRキットでも約4-6万円と、一眼レフ入門として最も低コストです。連写速度は5コマ/秒で動体撮影には心もとないですが、風景・スナップ・テーブルフォトには十分です。ISO感度の実用上限がISO1600-3200と低めのため、室内撮影では外部フラッシュ(SB-500等)の併用を推奨します。ただしD5600にはボディ内AFモーターが搭載されておらず、AF-Sタイプ以外のレンズ(AF-D等)ではAFが動作しません。中古レンズを選ぶ際は「AF-S」または「AF-P」の表記があるレンズを選んでください。

被写体別の最適機種|風景・ポートレート・スポーツ・野鳥

風景撮影に最適な機種と設定

風景撮影に最も適した機種はD850です。4,575万画素の高解像度はA2以上の大判プリントに対応し、ISO64のベース感度はダイナミックレンジが最も広く、白飛び・黒つぶれの少ない階調表現が可能です。

風景撮影の標準設定はF8-F11・ISO64・三脚使用・リモートレリーズです。F8は回折の影響が出始める手前で、D850の解像力を最大限に引き出せるF値です。F11まで絞ると被写界深度が広がりますが、回折による解像力低下が始まるため、F8とF11の使い分けが重要です。広角レンズ(14-24mm等)でパンフォーカスにする場合はF8で十分な被写界深度が得られます。望遠レンズ(70-200mm等)で遠方の山並みを切り取る場合はF11が適切です。予算的にD850が厳しい場合は、D780のFXフォーマット2,450万画素でも十分高品質な風景写真が得られます。

ポートレート撮影に最適な機種と設定

ポートレート撮影ではD780のライブビュー瞳AFが最も実用的です。光学ファインダーの51点AFでも撮影は可能ですが、瞳に正確にピントを合わせるには瞳AFの精度が有利です。D780のライブビュー瞳AFは検出精度約95%で、F1.4-F2.8の浅い被写界深度でも高確率で瞳にピントが合います。

ポートレートの標準設定はF1.8-F2.8・SS1/250秒以上・ISO100-400です。85mm F1.8(AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G)は距離2mで被写界深度が約3cmとなり、目にピントが合えば耳はボケるほど浅い被写界深度です。ピント精度が生命線となるため、瞳AFのあるD780が適しています。D850は4,575万画素のため肌のディテール(毛穴・しわ等)が高精細に写り、レタッチの精度が求められます。肌を滑らかに仕上げたい場合はD780の2,450万画素の方が扱いやすい面があります。屋外ポートレートで自然光を使う場合はISO64-100、室内でストロボを使う場合はISO200-400が目安です。

📷 設定のポイント
ポートレートの基本設定(D780): AF-S 85mm f/1.8G・ライブビュー瞳AF・F2.0・SS1/250秒・ISO200。背景をぼかしつつ両目にピントを合わせるにはF2.0-F2.8が適正。F1.4では片目しか被写界深度に入らない場合がある。

スポーツ・野鳥撮影に最適な機種と設定

スポーツ・野鳥撮影ではD500が最適です。153点AF・10コマ/秒・DXクロップ(1.5倍望遠効果)・200コマ以上の連続撮影という組み合わせは、2026年時点でもAPS-C一眼レフとして最高水準です。

野鳥撮影の標準設定は、AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR(換算300-750mm)・AF-C・グループエリアAF・SS1/1000秒以上・ISO400-1600です。D500の153点AFのカバー範囲はファインダーの約80%で、フレーム端に移動する鳥を追い続けることが可能です。サッカーやラグビーの撮影ではAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR(換算105-300mm)・AF-C・ダイナミックAF(25点)・SS1/1000秒以上・ISO800-3200が基本です。予算を抑える場合はD7500+AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR(換算105-450mm)の組み合わせが約8-10万円で構築でき、運動会や少年スポーツには十分な性能です。

中古購入のチェックポイント|2026年の相場と注意事項

2026年時点の中古相場

2026年3月時点のニコン一眼レフ中古相場は以下の通りです。D850が約15-20万円、D780が約14-18万円、D500が約8-12万円、D7500が約5-7万円、D5600が約3-5万円です。いずれも新品価格から50-70%下落しており、性能対価格比は高い水準です。

ニコンが一眼レフの新規開発を終了したことで、中古価格は長期的に下落傾向にありますが、D850とD500は需要が根強く価格の下落が緩やかです。D780は発売が2020年と比較的新しいため、程度の良い個体が多く流通しています。シャッター回数が5万回以下の個体を選ぶのが理想で、10万回を超える個体はシャッターユニットの寿命(D850・D780は約20万回、D7500は約15万回)を考慮して価格交渉の材料にしてください。

中古購入時に確認すべき5つのポイント

ニコン一眼レフの中古購入時には5つの確認ポイントがあります。第一にシャッター回数(メニュー→撮影枚数表示で確認可能)。第二にセンサーの汚れ(F16に絞って白い壁を撮影し、黒い点の有無を確認)。第三にAF精度(AF微調整が大幅にずれている場合はマウントの歪みの可能性)。第四にファインダーのカビ・クモリ(ペンタプリズム内部のカビは修理不可の場合がある)。第五に外装のグリップ剥がれ(使用感の指標。交換費用は約3,000-5,000円)。

特に重要なのはシャッター回数です。D850・D780のシャッター耐久は約20万回で、5万回以下なら耐久寿命の75%以上が残っています。10万回超の個体は残り寿命50%以下のため、価格が30%以上安くなければ割に合いません。センサークリーニングは自分で行う場合はセンサースワブとクリーニング液(約2,000円)で対応可能ですが、失敗するとセンサーに傷がつくリスクがあるため、ニコンサービスセンターでのクリーニング(約3,000円)を推奨します。

⚠️ 初心者がやりがちな失敗
シャッター回数を確認せずに中古ボディを購入すること。シャッターユニットの交換費用は約3-5万円で、安い中古を買っても修理費で相殺されます。購入前に必ずシャッター回数を確認し、5万回以下の個体を優先してください。

今からFマウントを買うべきか|Zマウントとの比較判断

2026年時点でFマウント一眼レフを新たに購入すべきかの判断基準は3つです。第一に予算、第二に使いたいレンズがFマウントに存在するか、第三にAFの瞳検出・被写体認識が必要かです。

予算面では、D780+AF-S 24-70mm f/2.8E(中古合計約25-30万円)に対し、Z6III+NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(新品合計約55-60万円)で約2倍の差があります。同等の光学性能を半額で構築できるのがFマウントの最大の利点です。一方、被写体認識AF(鳥・車・飛行機等)はZシリーズのみの機能であり、Fマウント一眼レフでは利用できません。動体撮影でAF任せの歩留まりを重視するならZシリーズが有利です。既にFマウントレンズを複数本所有している場合は、Fマウントボディで使い続ける方がコスト合理的で、将来的にZボディへ移行する際はFTZアダプターで既存レンズを引き継げます。

まとめ|ニコン一眼レフの選び方を数値で整理する

ニコン一眼レフは新規開発が終了しましたが、完成度の高い製品群として2026年時点でも十分な撮影性能を持っています。機種選びは「何を撮るか」で決まります。以下に要点を整理します。

  • D850: 4,575万画素・ISO64・裏面照射型CMOS。風景・大判プリント向け。中古約15-20万円
  • D780: 2,450万画素・EXPEED 6・ライブビュー瞳AF・2,260コマ/充電。万能型。中古約14-18万円
  • D500: 153点AF・10コマ/秒・DXクロップ1.5倍。動体撮影最強。中古約8-12万円
  • D7500: D500と同じセンサー・51点AF・8コマ/秒。コスパ重視の動体撮影。中古約5-7万円
  • D5600: 465g最軽量・39点AF。入門・スナップ向け。中古約3-5万円
  • 風景撮影: D850+F8-F11・ISO64・三脚使用が最高画質の組み合わせ
  • ポートレート: D780のライブビュー瞳AF+85mm F1.8・F2.0・SS1/250秒
  • スポーツ・野鳥: D500+200-500mm F5.6・AF-C・SS1/1000秒以上・ISO400-1600
  • 中古購入はシャッター回数5万回以下を目安に。D850・D780の耐久は約20万回
  • Fマウントのレンズ資産はFTZアダプターでZマウントに引き継げるため、将来の移行にも対応可能
📷 設定のポイント
初めてニコン一眼レフを購入する場合は、D7500+AF-P DX 18-55mm VR+AF-P DX 70-300mm VRのダブルズームキット(中古約7-9万円)から始めてください。風景から運動会まで対応でき、ニコンの操作体系を学べます。物足りなくなったらD780やD500にステップアップし、レンズはそのまま使い続けられます。

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