【ストロボの教科書】「自然な光」を作るための完全ガイド|TTL・バウンス・オフカメラ

ストロボ

「ストロボを使うと、写真が不自然になる」
「いかにも『フラッシュ炊きました』というテカテカした写真が嫌いだ」

多くの初心者がそう言って、カメラの上についている内蔵フラッシュを封印し、高価な明るいレンズ(F1.4など)を買い求めます。
しかし、それは大きな誤解です。

プロのフォトグラファーがストロボを使うのは「暗いから」ではありません。
「光の質(Quality of Light)」をコントロールし、自然光よりも美しい光を作るためです。

逆光で顔が暗くなるのを防ぐ、瞳にキャッチライトを入れる、料理を美味しそうに見せる、雨粒を止めてドラマチックに撮る。
これらは全て、ストロボがないと不可能な表現です。
実は、あなたが雑誌やSNSで見て「綺麗な自然光だな」と思った写真の多くは、巧みに計算されたストロボライティングによるものです。

この記事では、カメラ初心者こそ知っておくべき「クリップオンストロボ(スピードライト)」の基礎から、プロが実践する「オフカメラライティング」の魔術まで、全角1万文字を超えるボリュームで徹底解説します。
「光を制する者は、写真を制す」。
その第一歩を、ここから踏み出しましょう。

この記事でわかること

  • 結論:ストロボは「壁に当てる(バウンス)」のが基本中の基本。
  • 必須知識:「TTL(自動)」と「マニュアル」の使い分けができれば一人前。
  • トレンド:純正ではなく「Godox」などのサードパーティ製が現在の最適解。
目次

なぜストロボが必要なのか:3つの誤解を解く

ストロボ

まず、ストロボに対するネガティブなイメージを払拭しましょう。
「ストロボ=不自然」というのは、使い方が間違っているだけです。

1. 「暗い場所を明るくする」だけではない:フィルライトの魔法

「ストロボ=夜に使うもの」という固定観念を捨ててください。
プロが最もストロボを必要とするのは、実は「真夏の快晴の昼下がり」です。
太陽光が強烈なトップライト(真上からの光)になると、人物の目の下や鼻の下に濃い影(ガイコツのような影)が落ちます。
また、背景の青空に合わせて露出を決めると、日陰にいる人物は真っ暗になります(逆光)。

ここでストロボを正面から弱く当てることで、影を埋め、人物の明るさを背景とバランスさせることができます。
これを「日中シンクロ(Daylight Sync)」または「フィルイン・フラッシュ(Fill-in Flash)」と呼びます。
「ストロボを炊いているのに、誰も気づかない自然な写真」こそが、ライティングの到達点です。

2. 「色」をコントロールする:演色性(CRI)の正体

例えば、薄暗いレストランで料理を撮ると、どんなにホワイトバランスを調整しても「何かが違う」と感じたことはありませんか?
それは「環境光の演色性(Ra)」が低いからです。
安いLED電球や蛍光灯は、人間の目には白く見えても、カメラにとって必要な「赤」や「青」の成分が欠けていることがあります(スペクトルが不連続)。
色が欠けた光の下では、いくら後処理(レタッチ)をしても、存在しない色は復元できません。

ストロボの光は、太陽光に極めて近い「フルスペクトル」の光です。
これを料理に当てることで、肉の赤みや野菜の緑を鮮やかに再現し、一気に「シズル感」が出ます。
「料理撮影にはストロボが必須」と言われるのは、明るさの問題ではなく、色の問題なのです。

3. 「動き」を止める:1/20000秒の世界

一般的に、カメラのシャッタースピードは1/8000秒が限界です。
しかし、ストロボの閃光時間(Flash Duration)は、出力を下げる(1/128など)と、1/20000秒〜1/40000秒という神速に達します。
暗い部屋でシャッタースピードを開放(1秒など)にしていても、ストロボが一瞬光れば、その一瞬だけが像として焼き付けられます。
これを利用すれば、ミルククラウン、水風船が割れる瞬間、ダンサーが宙に浮いた瞬間などを、微動だにせずピタリと止めることができます。
これを「高速閃光(High Speed Flash)」と呼び、肉眼では見えない世界を写すことができます。

スペックの読み方:カタログ数値の真実

ストロボを選ぶ際、スペック表には専門用語が並んでいます。
本当に重要なのは以下の3つだけです。

1. ガイドナンバー(GN):光の強さの方程式

ストロボの絶対的なパワーを表す数値です。
計算式は「GN = 絞り値(F値) × 撮影距離(m)」(ISO100基準)です。

【計算シミュレーション】
GN60のストロボをフル発光(1/1)させる場合:
・F4で撮影するなら:60 ÷ 4 = 15メートル まで届く。
・F11まで絞るなら:60 ÷ 11 = 約5.4メートル までしか届かない。

また、ISO感度を上げると実質的なGNは上がります。
ISO400にすると、距離は2倍(正確にはルート2倍ではない、感度が4倍で距離2倍)…いえ、ISO感度が2段上がると距離は2倍になります。
GNが大きいほど、「遠くまで届く」だけでなく、「大きなディフューザーを付けても光量が足りる」というメリットがあります。
GN36〜40:小型モデル(Godox TT350など)。カフェやテーブルフォト向け。
GN60:大型フラッグシップ(Godox V1など)。壁バウンスや日中シンクロ、ソフトボックスを使うならこれが必要です。

2. リサイクルタイム(チャージ時間)の壁

ストロボはコンデンサーに電気を溜めて一気に放出します。
発光してから次のが溜まるまでの時間を「リサイクルタイム」と呼びます。
カタログスペックで「1.5秒」とあっても、それは新品の電池での話です。

【電池による違い】
アルカリ乾電池:最初は速いが、使っていくと急激に遅くなる。後半は5秒〜10秒待たされることも。
ニッケル水素(エネループ):アルカリより電圧が安定しており、粘り強い。
専用リチウムイオンバッテリー(Li-ion):現在の主流。エネループ12本分相当の容量を持ち、バッテリーが切れる直前まで「1.5秒」の爆速チャージを維持します。
結婚式の入場シーンなどで「また光らない!」と焦りたくないなら、絶対にリチウムイオンバッテリー式を選んでください。

3. 照射角(ズーム機能)と配光特性

レンズの焦点距離(24mm, 50mm, 105mmなど)に合わせて、発光管が前後に動き、光の照射範囲を変える機能です。
広角(24mm):光をワイドに拡散させる。光量は落ちる。
望遠(200mm):光をスポット状に集める。光量は上がる(GNアップ)。
基本はオートズームですが、手動で「ワイドパネル(14mm相当)」を引き出すことで、部屋全体に光を回したり、逆に「200mm」固定にしてスポットライトのような効果を狙ったりと、表現に使えます。

モードの使い分け:TTL vs マニュアル

カメラに「オートモード」と「マニュアルモード」があるように、ストロボにも2つのモードがあります。
状況に応じて使い分けることが、失敗しないコツです。

1. TTLモード(自動調光):失敗しない魔法

「Through The Lens(レンズを通した光)」の略です。
シャッターボタンを全押しした瞬間、以下のプロセスが一瞬で行われます。
1. ミラーが上がり、シャッターが開く直前に、ストロボが微弱な「プリ発光」をする。
2. 被写体に当たって跳ね返ってきた光を、カメラのセンサーが測定する。
3. 「この明るさなら、本番はこれくらいの光量が必要だ」と計算する。
4. 本番発光し、シャッターが切れる。
これら全てが数ミリ秒の間に行われます。
被写体との距離がめまぐるしく変わる結婚式披露宴、子供の撮影、スナップ撮影では、TTL一択です。
【注意点:プリ発光の罠】
人間には感知できませんが、動物や一部の人は「プリ発光」に反応して目を閉じてしまうことがあります。
「ストロボを使うといつも目が半開きになる」という場合、このプリ発光が原因です。その場合は、マニュアルモード(プリ発光なし)を使うか、FVロック(発光量を固定する機能)を使います。

2. マニュアル(M)モード:再現性の職人技

発光量を「1/1(フル発光)」「1/2」「1/4」…「1/128」と、1/3段ステップで精密に決め打ちするモードです。
一度決めたら、カメラが何を測定しようが、絶対に同じ明るさで光ります。
【なぜプロはマニュアルを使うのか?】
TTLは便利ですが、例えば「モデルが黒い服を着ている」とカメラは「暗い!」と判断して光を強め、「白い服」だと弱めます。
これでは、同じ場所で撮っているのにカットごとに顔の明るさが変わってしまい、あとのRAW現像が地獄になります。
スタジオ撮影、商品撮影、または被写体との距離が変わらないポートレート撮影では、マニュアルモードで「光を固定」するのが鉄則です。

バウンス撮影:初心者が最初に覚えるべき魔法

ストロボ

ストロボをカメラに付けて、真正面から被写体に向かって光らせることを「直射(直炊き)」と言います。
これをやると、顔が平面的になり、後ろに濃い影ができ、免許証の写真のようになります(これが「ストロボ臭い」原因です)。
これを解決するのが「バウンス撮影」です。

1. 天井バウンス(天バン):8割はこれで解決

ストロボの発光部(ヘッド)を上に向けて、天井に光を当てます。
天井が巨大なライトボックスの役割を果たし、上から柔らかい光が降り注ぎます。
【成功の3カ条】
1. 天井は白くないとダメ:木目や黒い天井では光が吸収されたり、色が被ります。
2. 角度は「真上」ではない:真上に上げると、目の下に影ができやすくなります。少し後ろ(背後の天井)に向ける「背面バウンス」の方が、被写体の正面から光が回るため綺麗です。
3. 光量はプラス補正:天井までの往復距離があるため、光が減衰します。TTL調光補正を「+1.0」〜「+2.0」くらい上げるのが定石です。

2. 壁バウンス:ドラマチックな横顔

ヘッドを横(右か左)の壁に向けます。
横方向からの光(サイドライト)になるため、被写体の顔に立体的な陰影が生まれます。
「窓際に立っているような光」を人工的に作ることができます。
天井が高すぎて(吹き抜けなど)天バンが使えない場合でも、壁なら近くにあることが多いので重宝します。
ただし、壁の色には注意してください。赤い壁に当てれば、写真は真っ赤になります。

3. キャッチライトパネルと「フラッギング」

多くのストロボに内蔵されている「白い板(キャッチライトパネル)」は、引き出すだけで「瞳に白い点」を入れることができます。
しかし、もっと重要なテクニックがあります。それが「フラッギング(ハレ切り)」です。
天井バウンスをする際、ストロボの光の一部が直接被写体に当たってしまうと、不自然なテカリになります。
これを防ぐために、名刺や黒い紙をゴムバンドでストロボの発光部の後ろ(被写体側)に留め、直接光をカットします。
「綺麗な光だけを当てる」という、プロのこだわりです。

ディフューザーの魔法:光の質を変えるアクセサリー

バウンスできる壁や天井がない屋外ではどうすればいいでしょうか?
そこで登場するのが「ディフューザー(光を拡散させる道具)」です。
光源の面積(サイズ)が大きければ大きいほど、光は柔らかくなり、影の境界線(グラデーション)が滑らかになります。

1. 「光源のサイズ」がすべてを決める

照明の最も重要な物理法則は「光源が大きいほど、光は柔らかくなる」です。
太陽は地球より巨大ですが、距離が遠すぎるため「点光源」となり、影がくっきり出ます(硬い光)。
一方、曇りの日は雲全体が発光するため「面光源」となり、影が消えます(柔らかい光)。
クリップオンストロボは小さな点光源です。
だからこそ、ソフトボックスやアンブレラを使って「見かけ上のサイズ」を大きくする必要があるのです。

2. ソフトボックス:美肌製造機

ストロボの光を箱の中に閉じ込め、白い布を通して拡散させます。
おすすめサイズ
・60cm×60cm:持ち運びやすく、バストアップ撮影に最適。
・80cm〜120cm(オクタゴン):全身撮影や、より柔らかい光を作りたい時に。
四角形(レクタングル)は窓のようなキャッチライトが入り、八角形(オクタゴン)は瞳に丸いキャッチライトが入るため、ポートレートではオクタゴンが好まれます。
Godoxの「S2ブラケット」を使えば、クリップオンストロボでも本格的なボーエンズマウントのソフトボックスが装着できます。

3. アンブレラ(傘):コスパ最強の拡散光

・トランスルーセント(透過)
白いビニール傘のような素材。ストロボを被写体に向けて発光させ、傘を通して拡散させます(シュートスルー)。光が全方向に広がるため、柔らかさNo.1です。
・シルバー/ホワイト(反射)
内側が銀色または白の傘。ストロボを傘に向けて発光させ、反射光を当てます。透過型より光のロスが少なく、コントラストがつきます。
初めて買うなら、両方の使い方ができる「ルーセントアンブレラ(透過)」がおすすめです。

4. グリッドとカラーフィルター:光を操る

・グリッド(ハニカム)
光の拡散を抑え、スポットライトのように「方向性」を持たせます。
「モデルの顔だけ明るくして、背景は暗く落としたい」という時に必須です。
・カラーフィルター(ジェル)
ストロボ光に色をつけます。
「CTO(オレンジ)」:夕日の色に合わせたり、タングステン光(電球色)の室内で環境光と馴染ませるために使います。
「CTB(ブルー)」:クールな演出に。
最近流行りの「MagMod(マグモッド)」システムなら、磁石でこれらを一瞬で着脱できます。

高度な機能:HSSと後幕シンクロ

カメラの設定に限界があるように、ストロボにも物理的な限界(同調速度)があります。

1. ハイスピードシンクロ(HSS / FP発光)の仕組み

通常、ストロボは一瞬(1/1000秒以下)しか光りません。
しかし、シャッタースピードが1/8000秒などの高速になると、先幕が開ききる前に後幕が閉まり始め、「スリット状の隙間」が移動して露光します。
この状態でストロボが一瞬光ると、スリットのある一部しか写りません(幕切れ)。
HSSは、ストロボを「数万回連続で点滅(パルス発光)」させることで、疑似的に定常光を作り出し、スリットの移動中ずっと光り続けます。
これにより、F1.4のボケ味を活かしたまま、逆光のポートレート撮影が可能になります。
ただし、連続発光させるためパワーを激しく消耗し、実質的なガイドナンバー(到達距離)は大幅に低下します。
HSSを使うときは、被写体に近づく必要があります。

3. 後幕シンクロ(Slow Sync)の芸術

夜の手持ち撮影で、シャッタースピードを1/10秒などのスローシャッターにし、ストロボを炊く技法です(スローシンクロ)。
・先幕シンクロ(通常):シャッターが開いた瞬間に光る。→光の軌跡が被写体の「前」に出る(バックしているように見える)。
・後幕シンクロ:シャッターが閉じる直前に光る。→光の軌跡が被写体の「後ろ」に出る(前進しているように見える)。
動いている車、ダンス、夜のパレードなどを撮る際に、躍動感のあるブレ(定常光)と、止まった被写体(ストロボ光)を1枚の写真に同居させる高等テクニックです。

4. マルチ発光(Stroboscopic Flash)

「1回のシャッターで複数回発光させる」特殊モードです。
例えば、暗闇の中でダンサーが踊っているシーンを、シャッタースピード1秒、発光周波数10Hz(1秒間に10回)で撮影すると、1枚の写真の中に「10人のダンサーの動き」が分解写真のように写り込みます。
スポーツのフォーム確認や、アート作品を作る際に使われるマニアックですが面白い機能です。

オフカメラ・ライティング:写真が劇的に変わる瞬間

ストロボ

クリップオンストロボという名前ですが、実は「カメラから離して使う(オフカメラ)」ときに真価を発揮します。
カメラの上(レンズと同じ軸)からの光は、説明的な記録写真には良いですが、芸術的ではありません。

1. なぜオフカメラなのか?:レンブラントの光

カメラの上(オンカメラ)からの光は、常に「撮影者と同じ視点」からの光です。
これは証明写真や免許証の写真と同じ、フラットで退屈なライティングです。
ストロボをカメラから離し、被写体の「斜め前45度・上45度」に配置してみてください。
鼻の影が斜め下に落ち、頬に逆三角形のハイライトが生まれます。
これを「レンブラント・ライティング」と呼びます。
17世紀の画家レンブラントが好んで描いたこの光は、人間の顔立ちを最も美しく、ドラマチックに見せる配置とされています。
これを実現するには、オフカメラしかありません。

2. 必要な機材リスト

オフカメラを始めるのに必要なのは以下のセットです。
1. ストロボ(受信機内蔵のもの。Godoxなら全て内蔵)。
2. ワイヤレスコマンダー(送信機。カメラに乗せる)。
3. ライトスタンド(ストロボを立てる棒。Amazonで2000円〜)。
4. アンブレラホルダー(スタンドとストロボと傘を繋ぐ関節)。
5. アンブレラ(光を拡散させる傘)。
全部揃えても、Godoxなら2万円前後でスタートできます。

3. 「多灯ライティング」への入り口

1灯に慣れたら、2灯目を背後に置いてみましょう(バックライト/リムライト)。
髪の毛が輝き、被写体が背景から浮き上がります。
さらに3灯目で背景を照らしてみましょう(バックグラウンドライト)。
場所がどこであろうと、そこはあなたの写真館になります。
Godoxの「Xシステム」なら、手元のコマンダーひとつで、5つのグループ(A〜E)のストロボの光量を個別に調整できます。

4. 基本のライティングパターン3選

オフカメラストロボの配置には、美術の歴史で証明された「黄金の型」があります。
これを知っているだけで、迷わずに美しいポートレートが撮れます。

① ループ・ライティング(Loop Lighting)
・配置:カメラから見て斜め30度〜45度、少し高い位置。
・特徴:鼻の影が少しだけ斜めに出て、「輪(ループ)」のような形になります。
・効果:最も一般的で、誰にでも似合う万能なライティングです。顔の立体感を出しつつ、親しみやすい印象を与えます。
② バタフライ・ライティング(Butterfly Lighting)
・配置:カメラの真上、高い位置から見下ろすように。
・特徴:鼻の下に「蝶(バタフライ)」の形をした影ができます。
・効果:頬骨を高く見せ、顔をほっそりと見せる効果があります。ハリウッド女優やビューティーフォトで多用される、女性を美しく撮るための配置です。
③ スプリット・ライティング(Split Lighting)
・配置:被写体の真横(90度)。
・特徴:顔の半分が光り、半分が影になります。
・効果:ドラマチックで力強い印象を与えます。男性のポートレートや、クールなアーティスト写真に向いています。

購入ガイド:Godox一強時代の歩き方

かつてはカメラメーカー純正(Canon, Nikon, Sony)のストロボが鉄板でしたが、現在は中国メーカー「Godox(ゴドックス)」が業界地図を塗り替えました。

1. Godox(ゴドックス)一強時代の理由

かつては「純正(Canon, Nikon, Sony)」が絶対の正義でした。
しかし、中国メーカーGodoxの出現で全てが変わりました。
・圧倒的なコスパ:純正フラッグシップが6〜7万円に対し、Godox V1は3万円台。
・バッテリー革命:単三電池ではなく、専用リチウムイオンバッテリーを標準採用。1回の充電で480回のフル発光が可能(純正の倍以上)。
・クロスプラットフォーム:Canon用のコマンダーでNikon用のストロボも制御できます(マウント引っ越しの際も資産が無駄になりません)。
「プロでもGodoxを使う」のが当たり前の時代になりました。

2. おすすめモデル厳選3種

【① Godox TT350】(約1.2万円)
・ターゲット:初心者、スナップ、ライカQやFUJIFILM X100ユーザー。
・特徴:単三電池2本で動く超小型モデル。GN36。胸ポケットに入ります。
・注意:パワーは弱め、リサイクルタイムは遅め。

【② Godox V1 / V1Pro】(約3.5〜4.5万円)
・ターゲット:ポートレート、結婚式、プロカメラマン。
・特徴:ヘッドが丸い「ラウンドヘッド」。光の広がり(フォールオフ)が自然で美しいです。
・機能:モデリングライト(定常光LED)内蔵で、影の落ち方が事前にわかります。リチウムバッテリーでチャージも爆速。
・アクセサリ:「AK-R1」キット(別売)を使えば、ドームやグリッドを磁石でワンタッチ装着できます。これが神機能です。

【③ Godox AD200 Pro】(約4.5万円)
・ターゲット:本気で作品撮りをする人、ロケ撮影。
・特徴:クリップオンの形をしていますが、中身は「200Ws」というスタジオ用ストロボ級のパワー。
・用途:カメラの上には付きません。100%オフカメラ専用です。日中シンクロで太陽に勝ちたいならこれ。

3. コマンダーの選び方

オフカメラにするなら送信機が必要です。
・Xpro II:大画面で使いやすい。全ての機能を制御可能。基本はこれ。
・X3 (Nano):2024年発売のタッチパネル式超小型コマンダー。スマホのように直感的に操作でき、今のトレンドです。

4. オフカメラ必須アクセサリー:これを買えば間違いない

ストロボ本体だけではオフカメラはできません。以下の「三種の神器」を揃えましょう。
① ライトスタンド
安価なNeewer製(2000円〜)でも良いですが、倒れるとストロボが壊れるので、屋内なら「Manfrotto 5001B(ナノスタンド)」がコンパクトで最強です。屋外なら重いCスタンドが必要です。
② ブラケット(S2ブラケット)
Godoxの「S2ブラケット」は、クリップオンストロボを挟み込み、ボーエンズマウント(業界標準の規格)に変換する神アイテムです。これがあれば、世の中のあらゆる巨大ソフトボックスが装着可能になります。
③ アンブレラホルダー
ブラケットを使わない場合、スタンドとストロボを繋ぐ関節が必要です。Manfrottoの「MLH1HS」などが頑丈で首が垂れません。

まとめ:光を作ることは、世界を作ること

ストロボ

ストロボは、単なる照明器具ではありません。
写真の中に、自分の意図した「世界観」を作り出すための筆です。

💡 最後に:よくあるトラブルFAQ

Q1. ストロボを使うと背景が真っ暗になります。
A. シャッタースピードが速すぎるからです。
ストロボの光は一瞬なのでシャッタースピードの影響を受けませんが、背景の環境光(定常光)はシャッタースピードで明るさが決まります。
背景を明るくしたいなら、ISOを上げて、シャッタースピードを遅くしてください(スローシンクロ)。
「背景の明るさはシャッタースピードで、被写体の明るさはストロボの光量で決める」のが鉄則です。

Q2. バウンスしても影が濃く出ます。
A. 壁や天井が近すぎるか、部屋が狭すぎる可能性があります。
または、ストロボの照射角が望遠側(105mmなど)になっていませんか?
ワイドパネルを引き出して光を拡散させるか、自分でストロボを後ろに引いてみてください。

Q3. Godoxのストロボが光りません。
A. よくある原因は3つです。
1. コマンダーとストロボの「チャンネル(CH)」と「ID」が合っていない。
2. カメラの「電子シャッター(サイレント撮影)」がONになっている(多くのカメラでは電子シャッターでストロボは光りません)。
3. 電池切れ(リチウムイオンバッテリーは突然切れます)。

✅ 撮影前のチェックリスト

  • [ ] 電池の確認:ストロボとコマンダー、両方の充電は満タンですか?
  • [ ] 設定のリセット:前の撮影の設定(HSSや調光補正)が残っていませんか?
  • [ ] 同調速度:シャッタースピードは1/200秒以下になっていますか?(幕切れ防止)
  • [ ] ISO感度:室内ならISO 400〜800が基本です。ISO 100だとストロボの負担が大きすぎます。
  • [ ] ホワイトバランス:「太陽光」または「フラッシュ」に固定していますか?(オートは色が転びます)

最初はTTLでの天井バウンスから始めてみてください。
それだけで、室内の家族写真が見違えるほど綺麗になります。
慣れてきたら、マニュアルモードにして、光の強さを自分で決めてみてください。
そして最後は、カメラからストロボを離して、光の方向を考えてみてください。

そこには、今までカメラ任せにしていた時には見えなかった、新しい写真の面白さが待っているはずです。
光を制して、あなただけの1枚を写し出してください。

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この記事を書いた人

写真の教科書 編集部では、
カメラ初心者から中級者の方に向けて、
設定・用語・撮影の考え方をわかりやすく整理しています。

「感覚」や「経験」ではなく、
理屈から理解できる解説を大切にしています。

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