「見た目通りの色で撮れない」
「写真が勝手にオレンジっぽくなったり、青っぽくなったりする」
「RAW現像でホワイトバランスをいじりすぎて、正解がわからなくなった」
カメラ任せの「オートホワイトバランス(AWB)」で撮っていると、色が安定しないことがあります。
しかし、ホワイトバランス(WB)は、単に「見た目通りに合わせる」ためだけの補正機能ではありません。
結論から言うと、ホワイトバランスは「写真の『空気感』と『感情』を決定づける最強の演出ツール」です。
これを自在に操ることで、何気ない日常を映画のワンシーンのようにドラマチックに変えたり、プロの商業写真のような正確無比な色再現を行ったりすることが可能になります。
この記事では、ホワイトバランスの基礎知識はもちろん、プランクの法則に基づく物理的な色温度の定義、演色性(CRI)との関係、プロが現場で行う「グレーカード」を使った厳密なカラーマネジメント、そして「UniWB」や「ストロボカラーフィルター」といったマニアックな応用技術まで、全角1万文字を超える圧倒的なボリュームで徹底解説します。
ホワイトバランスの正体|脳の補正とカメラの正直さ

なぜカメラには「ホワイトバランス」という機能が必要なのでしょうか。
それは、私たちの目(脳)があまりにも優秀すぎるからです。
人間の「色順応(Chromatic Adaptation)」
あなたは今、白い紙を持っています。その紙は、太陽の下でも、オレンジ色の電球の下でも、青白い蛍光灯の下でも、「白」に見えるはずです。
これは、人間の脳が「照明の色を無意識にキャンセルして、物体の本来の色を感じ取る」という高度な画像処理を行っているからです。これを「色順応」や「色の恒常性」と呼びます。
しかし、カメラのイメージセンサー(シリコン)には脳がありません。
カメラは物理的に、入ってきた光の波長をそのまま正直に記録します。
- 電球の光(成分として赤が多い)を浴びた白い紙 → 赤く写る
- 日陰の光(成分として青が多い)を浴びた白い紙 → 青く写る
このズレを補正し、「白いものが白く写るように、電気的に色をねじ曲げる」機能こそがホワイトバランスです。
「白」を基準にする理由
なぜ「レッドバランス」や「ブルーバランス」ではなく「ホワイトバランス」なのでしょうか。
それは、光の三原色(R・G・B)がすべて均等に混ざった色が「白(またはグレー)」だからです。
「白が正しく白に見える状態」=「R・G・Bのバランスが取れている状態」=「他のすべての色も正しく再現される状態」
という論理が成立するため、写真の世界ではとにかく「無彩色の白(またはグレー)を基準にする」ことが絶対のルールとなっています。
色温度(ケルビン)の物理学|熱と色の関係
ホワイトバランスを数値で管理する単位「K(ケルビン)」。
なぜ温度の単位が色に使われるのか、その物理的な背景を知ると理解が深まります。
黒体放射(Black Body Radiation)とプランクの法則
想像してみてください。炭や鉄の塊(黒体)を真っ黒な部屋で加熱していきます。
- 最初は真っ黒です。
- 温度が上がると、ぼんやりと赤く光り始めます(約1000K)。
- さらに加熱すると、オレンジ色から黄色になります(約3000K)。
- さらに高温になると、白く輝きます(約5000K〜6000K)。
- そして超高温になると、青白くなります(約10000K〜)。
このように、「物体の温度(熱エネルギー)」と「放射される光の色」には密接な関係があります。
これをマックス・プランクが定式化したのが「黒体放射の法則」です。
つまり、「低い色温度=赤」「高い色温度=青」というのは、単なるデザイン上の決まり事ではなく、宇宙の物理法則なのです。
人間の感覚では、「赤=温かい」「青=冷たい」と感じますが、物理学的な色温度(エネルギー)としては逆です。
ガスコンロの火も、赤い炎より青い炎の方が高温なのと同じです。
- 2000K(低温):ロウソクの炎(赤)
- 10000K(高温):青空(青)
カメラによる補正の仕組み
カメラのホワイトバランス設定(K値の指定)は、「光源の色温度を打ち消すためのフィルターセット」だと考えてください。
カメラで「3000K(電球マーク)」を設定するということは、
「今の光源は3000K(赤い光)だね。了解。じゃあ、青いフィルターをかけて白に戻すよ」
という指令を出していることになります。
逆に「7000K(日陰マーク)」を設定するということは、
「今の光源は7000K(青い光)だね。了解。じゃあ、赤いフィルターをかけて白に戻すよ」
という処理を行っています。
この「逆補正」の原理を理解することが、WBを使いこなす第一歩です。
WBプリセットの完全理解と応用|晴天・日陰・電球

カメラに搭載されているプリセットモードは、主要な光源の色温度に合わせて設定されています。
それぞれのケルビン値の目安と、応用テクニックを紹介します。
| プリセット名 | K値目安 | 本来の役割 | 応用的使い方(裏ワザ) |
|---|---|---|---|
| 電球(白熱灯)💡 | 約3000K | 赤い光を白くする(青を足す) | 夜景をクールにする 普通の夜景で使うと、全体が青く染まり、サイバーパンクや都会的な冷たさを表現できる。 |
| 白色蛍光灯 | 約4000K | 少し赤い光を白くする(緑被り補正含む) | 古い映画のようなトーン 少し紫がかった独特のトーンになることが多い。 |
| 太陽光(晴天)☀️ | 約5200K | 基準となる白(補正なし) | 見た目通りの記録 夕方は赤く、日陰は青く、ありのままの色変化を記録したい時はこれ。 |
| 曇天(くもり)☁️ | 約6000K | 少し青い光を白くする(薄く赤を足す) | 暖かみを足す常套手段 料理やポートレートで、ほんの少し血色を良くしたい時に多用される。失敗が少ない。 |
| 日陰(シェード)🏠 | 約7000K | 青い光を白くする(強力に赤を足す) | 夕焼けを燃やす 夕日の赤さに、さらにWBの赤補正を乗算することで、燃えるようなドラマチックな夕景を作る。 |
マゼンタとグリーンの「色偏差(Tint)」
K(ケルビン)の設定だけでは、どうしても色が合わないことがあります。
それは、光の色には「赤〜青(色温度)」の軸だけでなく、「緑〜マゼンタ(色偏差/Tint)」の軸があるからです。
蛍光灯のグリーン被り
特に厄介なのが、古いオフィスの蛍光灯や、安価なLED照明です。
これらはスペクトルの特性上、強い「緑色(グリーン)」の成分を含んでいます。
ケルビン値をいくら調整しても、「赤と青のバランス」しか変わらないため、この「緑被り」を取り除くことはできません。
WB補正(マニュアルシフト)の活用
そこで必要なのが、WBの詳細設定画面にある「カラーグリッド」です。
ここで補正点を「M(マゼンタ)」方向に1〜2目盛り動かすことで、緑色を打ち消すことができます。
- 緑色の光源(蛍光灯) → M(マゼンタ)を足す
- ピンク色の光源(舞台照明など) → G(グリーン)を足す
プロのポートレートなどでは、肌の透明感を出すために、意図的にケルビンを合わせつつ、わずかにM(マゼンタ)方向にシフトさせることがよくあります(ピンク肌効果)。
AWB(オート)のアルゴリズムと限界
現在のカメラのAWBは非常に優秀ですが、万能ではありません。
カメラがどのように「白」を判断しているかを知れば、AWBが失敗するシーンを予測できます。
「一番明るい場所=白だろう」という推測
初期のデジカメは「画面内の最も明るいハイライト部分は、きっと白い物体に光が当たっているはずだ」という単純なロジックで判定していました。
そのため、画面いっぱいに「赤い壁」や「緑の森」が入ると、それを白だと誤認してしまい、補正をかけて色が狂うことがありました(これを「特定色支配」といいます)。
ディープラーニングによるシーン認識
最新のミラーレス機(Sony α7R VやCanon R5/R6など)は、AI技術を使っています。
「これは夕焼けの空だ」「これは森の中だ」とシーン自体を認識しているため、夕焼けを無理やり白く戻そうとするようなミスは激減しました。
「ホワイト優先」と「雰囲気優先」
最近のキヤノンやソニー機では、AWBの中にさらに2つのモードがあります。
- ホワイト優先(AWB-W):電球色のレストランでも、白い皿を真っ白に補正する。ブツ撮りや記録写真向け。
- 雰囲気優先(AWB-A):光源の温かみをあえて残す。料理写真やスナップ、ポートレート向け。
迷ったら「雰囲気優先」にしておくのが、人間の記憶色に近く、失敗が少ない設定です。
プロの現場の「マニュアルWB」|絶対的な色を得る
商品撮影(ECサイトの写真など)や、建築写真、あるいは複数のカメラを使う動画撮影では、「なんとなくいい感じの色」では許されません。
「誰が見ても正確な色」である必要があります。
グレーカード(18%グレー vs スペクトルニュートラル)
正確なWBを取得するために使われるのが「グレーカード」です。
ここで注意が必要なのは、露出用の「18%標準反射板」と、WB用の「ホワイトバランスカード」は別物だということです(兼用のものも多いですが)。
WB用のカードは、「可視光線の全域にわたって、均一な反射率(分光特性がフラット)を持つ」ように作られています。
コピー用紙や白い服などは、実は「蛍光増白剤」が含まれており紫外線を青く反射するため、厳密なWB基準には不向きです。
マニュアルWBセットの手順
- 被写体と同じ位置(同じ照明か当たっている場所)にグレーカードを置く。
- カメラの「カスタムWB取得」モードを選ぶ。
- グレーカードが画面中央(または全体)に写るようにしてシャッターを切る。
- カメラが「OK」を出せば完了。
これにより、その照明環境下での「完全なニュートラルグレー」が定義されます。
この一手間をかけるだけで、後処理の色合わせの苦労が100分の1になります。
カラーチェッカーパスポートの活用
さらに高度なツールに「ColorChecker Passport(X-Rite / Calibrite)」があります。
これは24色のパッチが印刷された手帳サイズの色見本です。
Lightroomなどの現像ソフトと連携することで、「このカメラのセンサーは、この照明下で赤が少し弱く写るクセがある」といったセンサー自体のクセまで自動で補正するプロファイル(DNG Profile)を作成できます。
複数の異なるメーカーのカメラ(SonyとCanonなど)で同じシーンを撮る場合、色を統一させるための必須アイテムです。
色の科学「演色性(CRI/TLCI)」の真実
「WBを合わせても、なんだか色が変だ」「肌色が土気色になる」
そんな経験はありませんか?それはWBのせいではなく、光源の「質」が悪いからかもしれません。
CRI(平均演色評価数Ra)とは
太陽光を基準(Ra100)として、その照明がどれだけ正しく色を再現できるかを示す数値です。
一般的にRa80以上あれば合格点ですが、古い蛍光灯や安いLEDはRa70以下の場合があります。
例えば「R9(赤色)」の成分が欠落している照明下では、どんなにWBをいじっても、鮮やかな赤や健康的な肌色は再現されず、くすんだ茶色になります。
映像業界の標準「TLCI」
最近のLEDライトでは、カメラセンサーでの色再現性を重視した「TLCI(Television Lighting Consistency Index)」という規格も使われます。
TLCI 95+などの表示がある照明機材を選べば、驚くほど簡単に綺麗な色が撮れます。
WBで悩む前に、もし可能なら「演色性の高い照明に変える」のが、最も劇的な解決策です。
ミックス光(混合光)の攻略法
写真撮影において最も厄介な敵、それが「ミックス光」です。
例えば、「窓からの自然光(7000K・青)」と「室内の電球(3000K・赤)」が混在している状況です。
なぜミックス光はダメなのか
WBは「画面全体に対して一律の補正」しかできません。
電球(3000K)に合わせて補正すると、窓の光が青すぎ(10000K相当)になります。
窓の光(7000K)に合わせて補正すると、室内の光が赤すぎ(1500K相当)になります。
つまり、どちらかに合わせると、もう片方が破綻するのです。「両方とも正しくする」ことは、物理的に不可能です。
解決策①:環境光を統一する
最もプロらしい解決策です。カーテンを閉めて外光(青)を遮断し、電球(赤)だけで撮る。あるいは部屋の電気を消して、自然光(青)だけで撮る。
光源を一つに絞れば、WB合わせは簡単です。
解決策②:ストロボに「カラーフィルター(Gels)」をつける
どうしてもストロボを使って明るくしたい場合、ストロボの光(5500K・白)を、環境光(例えば電球・3000K)に合わせる必要があります。
ストロボの発光部にオレンジ色のセロファンのようなフィルター(CTO: Color Temperature Orange)を貼ります。
これによりストロボ光も「3000Kの赤い光」になります。
現場が「電球の赤」と「ストロボの赤」で統一されるため、カメラ側で「電球モード」に設定すれば、背景も人物もすべて綺麗な白になります。
映像制作の基準「3200Kと5600K」とLog撮影

映画やドラマの撮影現場では、WBを細かく変えることはほとんどありません。
基本的には以下の2つのどちらかに固定します。
- 3200K(タングステン):スタジオ照明や夜のシーンの基準
- 5600K(デイライト):日中のロケ撮影の基準(太陽光)
照明機材も、この2つの数値で作られています(バイカラーLEDライトなど)。
なぜ中途半端に4300Kなどにしないかというと、基準がブレるからです。
「ベースは5600Kで撮って、少し冷たくしたければ5600Kのまま撮って後処理で青くする」というように、撮影時は「基準(定規)」をブラさないことが、チーム制作におけるカラーグレーディングの要です。
Log撮影時のWB固定の重要性
近年一般的になった「Log撮影」では、WBの設定がさらに重要です。
Logモードでは、広いダイナミックレンジを確保するためにコントラストや彩度を極端に下げた映像を記録します。
このとき、AWBで撮影してしまうと、カットごとにWBが微妙に変化してしまい、後編集でLUT(Look Up Table)を当てた時に、色が予期せぬ方向に破綻することがあります。
Log撮影では、必ず3200K、5600K、またはグレーカードで取得したカスタムWBに「固定」して撮影するのが鉄則です。
RAW現像と思考停止の罠
「RAWで撮れば後からWB変えられるから、撮影時は適当でいいや」
これは半分正解で、半分間違いです。
RAWデータは色温度を持たない
RAWデータは、センサーが捉えた光の情報の生データであり、WBによる色変換が行われる前の状態です。
したがって、PhotoshopやLightroomで、画質劣化なしに、あたかも撮影時に設定を変えたかのようにWBを変更できます。
JPEG撮影ではWB設定が焼き付けられてしまうため、後から大きく変えると階調割れ(トーンジャンプ)を起こします。仕事での撮影ならRAW必須です。
それでも「現場で合わせる」意味
しかし、撮影時にモニターで確認するプレビュー画像(埋め込みJPEG)の色が狂っていると、写真の仕上がりイメージ(露出やコントラストの感じ方)が掴めません。
「青っぽい写真は暗く見え、赤っぽい写真は明るく見える(ヘルムホルツ・コールラウシュ効果)」という目の錯覚もあるため、現場である程度正しい色で表示させておくことは、露出決定の精度を上げるためにも重要です。
マニアック技術「UniWB」の世界
これは風景写真家や高画質オタクの間で知られる特殊な技術です。
通常、カメラのヒストグラム(露出分布図)は、WB補正がかかった後のJPEG画像を元に表示されています。
WB補正(RやBのゲインアップ)がかかると、特定の色チャンネルが飽和(白飛び)しやすくなります。
そのため、「本当は白飛びしていないのに、ヒストグラム上では赤チャンネルが白飛び警告を出している」という嘘の表示が出ることがあります。
これを防ぐために、WBのゲイン(増幅率)をR・G・Bすべて「1.0(等倍)」に設定した特殊なWBデータを使うのが「UniWB(Universal White Balance / Unity WB)」です。
これを設定すると、プレビュー画面は全体が強烈な緑色(センサーのベイヤー配列は緑が2つあるため)になりますが、ヒストグラムは「RAWデータの本当の信号レベル」を正確に表示するようになります。
限界ギリギリの露出(ETTR)を攻めたい風景写真家が使う裏技です。
シーン別・感情を操るWBレシピ
| シーン・被写体 | 推奨設定 | 狙いとK値 |
|---|---|---|
| 真っ赤な夕暮れ | 日陰(7000K-8000K) | AWBだと色が褪せる。日陰モードで赤をブーストし、燃えるような空、感動的な情景を強調する。 |
| クールな工場夜景 | 電球(2500K-3000K) | 人工物の冷たさ、近未来感を出したい時に。わざと青く被らせることでSF的な絵作りになる。 |
| 美味しい料理(メシ撮り) | 5500K〜5800K | わずかに黄色(アンバー)寄りを狙う。青いご飯は不味そう。温かい色は食欲をそそる。 |
| 透明感のあるポートレート | 4800K + マゼンタ補正 | あえて少し低いK値で青みを入れつつ、肌色の血色を補うためにマゼンタを足す。色白で透き通るような肌になる。 |
| 桜(ソメイヨシノ) | マゼンタ補正ON | 実際の桜は実はかなり白に近い。K値ではなくカラーシフトでM(ピンク)を足すと、記憶の中の桜色になる。 |
| 雨の日・曇りの海 | 晴天(5200K)固定 | AWBや曇天モードだと白く補正されすぎる。晴天モード固定で撮ることで、雨の日の「青っぽい寂しさ」をそのまま残せる。 |
ホワイトバランスに関するよくある質問(FAQ)全30問
Q1. 結局、普段は「オート(AWB)」でいいですか?
A. 基本はOKですが、できれば「太陽光(晴天)」固定をおすすめします。
AWBはコロコロ色が変わるので、上達を妨げます。太陽光固定にすると「夕方は赤い」「日陰は青い」という光の性質が体感でわかるようになります。
Q2. RAW現像で色を変えるのと、カメラで設定するのは画質が違いますか?
A. 画質は同じですが、作業効率が違います。
数百枚の写真を全部現像で直すのは地獄です。現場で合わせておくに越したことはありません。
Q3. K(ケルビン)指定モード、数字を覚えられません。
A. 「5000」を基準に、上げると赤、下げると青、とだけ覚えればOKです。
細かい数値はモニターを見ながらダイヤルを回せばいいので、暗記不要です。
Q4. 室内でストロボを使うと背景が黄色くなります。
A. ストロボ光(青白)と電球(赤黄)のミックス光だからです。
前述のカラーフィルターを使ってストロボをオレンジにするか、シャッタースピードを上げて背景光(電球)を暗く落とすかの2択です。
Q5. グレーカードは白い紙で代用できますか?
A. 簡易的にはOKですが、厳密にはNGです。
コピー用紙は蛍光増白剤で青く光ります。ティッシュペーパーの方がまだマシと言われています。
Q6. モニターの色とスマホの色が合いません。
A. カラーマネジメントの問題です。
PCモニターをキャリブレーションツール(Spyderやi1Displayなど)でsRGBに校正する必要があります。WB設定以前の話です。
Q7. 雪景色がグレーっぽく写ります。
A. それは露出(明るさ)の問題です。
WBではなく露出補正をプラスにしてください。ただし、日陰の雪は青くなるので、WBを「日陰」にすると白い雪になります。
Q8. マジックアワー(日没直後)の空のグラデーションが出ません。
A. AWBが補正してしまっている可能性大です。
「太陽光」または「日陰」に固定してください。AWBは鮮やかな色を「色被り」と判定して消そうとします。
Q9. 蛍光灯モードがいくつかありますが違いは?
A. 蛍光灯の種類(昼光色、昼白色、電球色)の違いです。
どれが合うかはやってみないとわからないので、AWBかマニュアルで合わせた方が早いです。
Q10. 動画撮影でもRAW現像のようにWBを変えられますか?
A. Log撮影やRAW動画ならある程度可能です。
通常の動画(MP4など)はJPEGと同じで焼き付けられるので、修正は困難です。
Q11. 星空撮影のWBは何が正解ですか?
A. 好みですが、3000K〜4000K程度が人気です。
夜空を青く(紺色に)表現したいか、自然な暗黒にしたいかで変わります。蛍光灯モードを使う人もいます。
Q12. 肌の色を綺麗に出すには?
A. 日本人は少し黄色〜ピンク寄りを好みます。
AWBだと青白くなりがちなので、少しK値を上げて、マゼンタを足すと健康的になります。
Q13. 「色被り」と「演出」の境界線は?
A. 「見せたい色がちゃんと見えているか」です。
白いウェディングドレスが赤くなっていたら「色被り(失敗)」ですが、夕焼けの空が赤くなっているのは「演出(成功)」です。
Q14. 太陽光モードなのに室内で撮るとオレンジになります。
A. 正常です。室内の電球がオレンジだからです。
「太陽光モード」は補正しないモードなので、光の色がそのまま出ます。
Q15. ホワイトバランスブラケティングとは?
A. 一回のシャッターで、赤寄り、青寄り、標準の3枚を保存する機能です。
フィルム時代の手法で、RAW撮影できる現代ではあまり使いません。
Q16. UniWBはどう設定するのですか?
A. 専用のデータをPCで作ってカメラに読み込ませる必要があります。
「機種名 UniWB」で検索すると、有志が作ったデータが見つかるかもしれません。
Q17. カラーチェッカーパスポートとは?
A. 複数の色パッチが印刷されたプロ用ツールです。
撮影時に写し込んでおき、Lightroomでプロファイルを作ると、全自動で正確な色を出せます。
Q18. ノイズとWBは関係ありますか?
A. 青チャンネルのゲインを上げると、青色ノイズが増えます。
電球の下(赤い光)で無理やり青く補正すると、暗部のノイズが増えることがあります。
Q19. 紅葉を鮮やかに撮る設定は?
A. 「日陰」または「曇天」モードです。
赤や黄色が強調され、枯れ葉のような茶色いくすみを防げます。
Q20. スマホでWBは変えられますか?
A. 標準カメラアプリでも「プロモード」があれば可能です。
iPhoneなら「Lightroom Mobile(無料)」などのアプリを使えばケルビン指定で撮影できます。
Q21. 色温度と明るさに相関関係はありますか?
A. クルーゾフ効果という心理現象があります。
「暗い場所では低い色温度(暖色)が快適で、明るい場所では高い色温度(寒色)が快適」と感じる法則です。リビングが電球色なのはこのためです。
Q22. ストロボにカラーフィルターをつけると光量は落ちますか?
A. 落ちます。最大で1段〜1.5段分くらい落ちます。
オレンジ色の濃いフィルターほど光を吸収するので、ストロボのパワーを上げる必要があります。
Q23. 色盲補正メガネのようなフィルターはありますか?
A. レンズフィルターとして「エンハンサー」と呼ばれるものがあります。
「レッドエンハンサー」などは特定の波長をカットして、赤色を鮮やかに見せる効果があります。
Q24. 料理写真はなぜ暖色が好まれるのですか?
A. 人類の進化の過程で「腐ったもの=青/緑」と認識するからです。
新鮮な肉や果実は暖色系が多いため、暖色=美味しいと脳が判断します。
Q25. 結局、WBは何のためにあるんですか?
A. あなたが「どう感じたか」を伝えるためです。
暑かったのか、寒かったのか、温かい雰囲気だったのか、寂しい雰囲気だったのか。それを色で翻訳するのがWBです。
Q26. ストロボ(フラッシュ)の色は経年劣化しますか?
A. はい、黄色くなります。
キセノン管(放電管)は使っているうちに電極が消耗し、色温度が下がって(黄色くなって)きます。厳密な撮影では定期交換が必要です。
Q27. LEDライトを暗く調光すると色が変わるのはなぜ?
A. 安価なLEDは電流制御で色が変わるからです。
PWM制御(点滅制御)のライトなら変わりませんが、電圧を変えるタイプは暗くすると色が転びやすいです。
Q28. 「自然光」の定義とは?
A. 太陽由来の光のことです。
直射日光(5600K)、曇りの日(6000K)、日陰(7000K)などすべて「自然光」ですが、色温度はバラバラです。
Q29. 長時間露光時にAWBを使うのは危険ですか?
A. 街灯の色が移り変わる場合などは危険です。
車のヘッドライトなど光源が移動すると、途中でWBが変わる可能性があります。マニュアル固定が無難です。
Q30. カメラメーカーによって「青」や「赤」の発色は違いますか?
A. 違います(カラーサイエンス)。
キヤノンは肌色が綺麗、富士フイルムは記憶色に近い、ソニーは正確性重視など、メーカーごとの味付けがあります。
Q31. スマホの写真はなぜ綺麗に見えるのですか?
A. 「記憶色」に合わせた補正が強力だからです。
iPhoneなどは空の青や料理の暖かみを、実際よりも「人間が心地よいと感じる色」に自動調整します。これがAIによる補正の力です。一眼レフでもPicture Styleなどを調整すれば近づけます。
ホワイトバランス関連用語集

- 色温度(Color Temperature)
- 光の色味を数値化したもの。単位はK(ケルビン)。低いと赤、高いと青になる。
- 色偏差(Tint)
- 色温度の軸(青ーアンバー)と直交する、緑ーマゼンタ方向の色のズレ。
- プリセットWB
- 晴天、日陰、電球など、あらかじめ用意されたWB設定。
- カスタムWB(マニュアルWB)
- 白い被写体を撮影して、その場の光に合わせて基準を作る機能。
- グレーカード
- 反射率18%で、かつ分光反射率がフラットなカード。露出とWBの基準に使われる。
- 演色性(CRI / Ra)
- Color Rendering Index。その光がどれだけ正確に色を再現できるかという指標。WBでは補正できない。
- TLCI
- テレビ照明整合指数。映像機器(センサー)での色再現性を重視した新しい演色性の規格。
- UniWB
- 各色チャンネルのゲインを1:1:1にしたWB設定。RAWヒストグラムの確認用。
- CTO / CTB
- Color Temperature Orange(色温度を下げるオレンジフィルター)とBlue(上げる青フィルター)。ストロボや照明機材で使う。
- ミックス光
- 色温度の異なる複数の光源が混在している状態。
まとめ|色はカメラが決めるものではない
デジタルカメラにおいて、ホワイトバランスは露出(明るさ)と同じくらい重要な要素です。
しかし、「オート」に頼りきりの人が最も多い設定項目でもあります。
「今日は寒いから、わざと青くして寒さを伝えよう」
「カフェの温かいライトの雰囲気を残したいから、オートじゃなくて太陽光モードで撮ろう」
このように、自分の意思でWBを選べるようになったとき、あなたの写真は「記録」から「作品」へと変わります。
恐れずに脱オートを目指し、光の色を支配してください。ホワイトバランスを意識することで、あなたの写真は見違えるように変わります。ぜひ、様々な設定を試してみてください。
WBは正解を探すパズルではありません。あなたの感情を色に乗せるパレットなのです。

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