【NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sレビュー】旅レンズの頂点。24-70mmF4や24-200mmとの違いを物理的に検証

カメラ
📷 この記事でわかること

  • S-Line基準を満たす光学性能と、高倍率ズームの物理的・工学的トレードオフの克服方法
  • 24mmから120mmまでの全域における解像力実測データと、使用すべき「おいしい」絞り値
  • 最大撮影倍率0.39倍というスペックがもたらす「ハーフマクロ的」運用法の具体例
  • ライバルとなる「24-70mm f/4 S」「24-200mm f/4-6.3」との決定的な物理的差異

「これ1本あれば、他はいらない」
カメラ愛好家の間でそう語られるレンズは数多くありますが、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sほど、その言葉が物理的に正しいレンズは他にありません。

通常、ズーム倍率を上げれば上げるほど、光学的収差(色のにじみや歪み)は幾何級数的に増大します。
しかし、このレンズはニコンの最新光学設計により、5倍ズームでありながら単焦点レンズに迫る解像力を実現しました。

本記事では、このレンズがなぜ「神レンズ」と呼ばれるのか、その理由をMTF曲線や硝材の特性といった物理的根拠に基づいて徹底的に解説します。
旅行、風景、ポートレート、そしてテーブルフォトまで。あなたの撮影体験をどう変えるのか、具体的な数値とともに検証していきます。

目次

基本スペックとS-Lineの定義|ただの便利ズームではない理由

🔍 なぜそうなる?仕組みを解説
S-Lineとは、ニコンが定める最高基準の証です。
「ナノクリスタルコート」や「アルネオコート」といった反射防止技術を贅沢に投入し、逆光時のフレアやゴーストを物理的に除去。
さらに、フォーカスブリージング(ピント移動時の画角変動)を光学設計段階で抑制するなど、動画性能までもが担保されています。

S-Lineの光学基準とMTF曲線チャート分析

【結論】 公開されているMTF曲線を見る限り、このレンズはズーム全域で「天井に張り付く」ような異次元のスコアを叩き出しており、周辺部まで解像が落ちません。

【理由】 従来の5倍ズームレンズは、利便性と引き換えに周辺画質を犠牲にするのが物理的な常識でした。しかし、本レンズは非球面レンズ3枚、EDレンズ3枚、非球面EDレンズ1枚という豪華な硝材配置により、諸収差を極限まで補正しています。特に30本/mmのライン(コントラスト再現性)が周辺まで高い値を維持している点は、風景撮影において「木の葉のディテール」が潰れないことを物理的に証明しています。

【数値・設定例】 ワイド端24mmの周辺部でも、絞り開放F4から実用十分な解像力を発揮します。F5.6まで絞れば、画面の四隅までカミソリのような切れ味になります。テレ端120mmにおいても、中心解像度は単焦点レンズと同等レベルを維持しています。

【注意点】 ただし、極端な周辺部には電子補正(歪曲収差補正)が入るため、RAW現像ソフトによっては補正前の歪んだ画像が表示されることがあります。純正ソフトやLightroomなどのプロファイル適用が前提の設計です。

ズーム全域F4通しがもたらす露出計算のメリット

【結論】 焦点距離を変えてもF値(明るさ)が変わらないため、マニュアル露出での動画撮影や、スタジオライティング撮影での計算が圧倒的に楽になります。

【理由】 一般的な高倍率ズーム(24-200mm f/4-6.3など)は、ズームすると勝手にF値が暗くなり、ISO感度が上がったりシャッタースピードが遅くなったりします。これは露出の三角形を崩壊させる要因です。F4通しという仕様は、どの画角を選んでも「光の入り口の大きさ」を一定に保つための巨大な前玉群によって物理的に支えられています。

【数値・設定例】 マニュアルモードで「F4、1/125秒、ISO 400」と決めたら、24mmで広角を撮った直後に120mmまでズームしてアップを撮っても、露出設定を変える必要がありません。これは結婚式やイベント撮影など、刻一刻と状況が変わる現場でのミスを物理的に防ぎます。

【注意点】 F4は決して「明るい」値ではありません。暗い室内や夜景では、F2.8やF1.8のレンズに比べてISO感度を2段分(例:ISO 1600→6400)上げる必要があるため、ノイズ対策が必要になります。

マルチフォーカス方式によるAF速度と合焦精度

【結論】 複数のフォーカス群を独立したモーターで動かす「マルチフォーカス方式」により、重量級レンズとは思えない爆速AFを実現しています。

【理由】 高画質なレンズほど、フォーカスレンズ群が重くなり、AF速度が遅くなるというジレンマがあります。ニコンはこの物理法則に対抗するため、フォーカス群を分割し、STM(ステッピングモーター)2基で同期制御しています。これにより、近距離から無限遠まで、収差変動を抑えつつ一瞬でピントを合わせることが可能です。

【数値・設定例】 Z9やZ50IIと組み合わせた場合、走り回る犬や子供の目にピントを合わせ続けるのは朝飯前です。特に最短撮影距離付近(0.35m)のマクロ的な撮影においても、AFが迷うことなくスッと合焦するのは、このマルチフォーカス技術の恩恵です。

【注意点】 AF駆動音はほぼ無音ですが、電源OFF時に内部でレンズがカタカタと動く音がすることがあります。これはリニア駆動やSTM特有の仕様であり、故障ではありません。

ナノクリスタル&アルネオコートの逆光耐性物理学

【結論】 太陽を画面内に入れた構図でも、コントラストが低下せず、不快なゴーストやフレアが嘘のように発生しません。

【理由】 レンズ表面での光の反射は画質劣化の主因です。ナノクリスタルコートはナノサイズの粒子膜で反射を抑え、アルネオコートはレンズ面に対して垂直に入射する光(これが一番タチが悪い)の反射を物理的にキャンセルします。この2種類のコーティングを併用することで、可視光全域での反射率を極限までゼロに近づけています。

【数値・設定例】 夕日の撮影など、強烈な逆光シーンでも「黒が黒として締まる」ため、ドラマチックなシルエット写真が撮れます。あえてフレアを出したいと思っても出ないレベルなので、オールドレンズのような「味」を求める人には逆に物足りないかもしれません。

【注意点】 前玉にフィルターを装着する場合、そのフィルターが粗悪だと、そこでゴーストが発生してしまいます。レンズのコーティング性能を殺さないよう、ARクレストなどの高級保護フィルターを使用してください。

解像力テスト|単焦点レンズにどこまで迫れるか

🎓 覚えておきたい法則
どんなレンズにも「スイートスポット(最も画質が良い絞り値)」が存在します。
基本的には「開放から2段絞ったところ」と言われますが、近年のS-Lineレンズは「開放から1段絞るだけ」でピークに達するよう設計されています。

広角24mm端の中心解像度と周辺画質の均質性

【結論】 24mm開放F4から中心部はカリカリです。周辺部はF5.6でピークに達し、画面全体が均質な描写になります。

【理由】 一般的な標準ズームは広角端の周辺画質が乱れがち(像面湾曲と呼ばれる現象)です。しかしZ 24-120mmは、マルチフォーカスによる収差補正が効いており、平面被写体(壁のポスターなど)を撮っても周辺までピントがしっかりと来ます。これは光学設計の妙です。

【数値・設定例】 風景撮影で24mmを使う場合、F5.6〜F8に設定すれば間違いありません。それ以上に絞る(F16など)と、「回折現象」という光の性質により、逆に全体がボヤけてくるため注意が必要です。

【注意点】 周辺減光(ヴィネット)は開放F4では若干見られます。これを「雰囲気」として活かすか、ソフトで補正するかは好みの問題ですが、光学的特性としては存在します。

望遠120mm端の開放F4における描写力検証

【結論】 120mmという望遠域でも解像力は衰えず、ポートレートでは「髪の毛一本一本」を分離描出する鋭さを見せます。

【理由】 ズーム倍率を上げると望遠側で甘くなるのが定石ですが、このレンズはEDレンズを効果的に配置し、色収差(色の滲み)を徹底的に抑え込んでいます。その結果、F4開放で撮影しても、ピント面はシャープで、そこからなだらかにボケていく美しい立体感が生まれます。

【数値・設定例】 ポートレート撮影では、あえて120mm F4を選んでください。圧縮効果と相まって、背景が整理され、被写体が浮き上がるような写真になります。85mm単焦点レンズに近い感覚で運用できます。

【注意点】 手ブレの影響は120mm側で顕著になります。ボディ内手ブレ補正(IBIS)があるZ6系などでは問題ありませんが、ZfcやZ50などのIBIS非搭載機で使う場合は、シャッタースピード1/125秒以上を確保しないと微ブレを起こし、せっかくの解像力が無駄になります。

比較:24-70mm f/4 Sとの解像度差はあるか

【結論】 実写比較において、中心解像度は同等。周辺解像度では24-70mm f/4 Sがわずかに勝る場面もありますが、等倍鑑賞でやっと分かるレベルです。

【理由】 24-70mm f/4 Sはズーム倍率が低い分、光学設計に無理がなく、非常にコンパクトにまとめられています。対して24-120mmは5倍ズームというハンデを背負いながら、最新の硝材技術でそれをねじ伏せています。物理的なレンズ枚数が増えた分、重量(約630g vs 約500g)と価格は増していますが、得られる画角の自由度はそれを補って余りあります。

【数値・設定例】 70mm地点での画質勝負をした場合、人間の目では区別がつかないでしょう。それならば、70mmから先の120mmまでズームできる本レンズの方が、撮影の歩留まり(シャッターチャンスへの対応力)は圧倒的に上です。

【注意点】 唯一の懸念はサイズ感です。24-70mm f/4 Sの沈胴機構によるコンパクトさは、登山のパッキングなどで大きな武器になります。画質差よりも「サイズと焦点距離のトレードオフ」で選ぶべきです。

絞り値ごとの回折現象とスイートスポット(F5.6〜F8)

【結論】 最も解像度が高くなるのはF5.6です。被写界深度を深くしたい場合でもF11まで留めるのが、高画素機における物理的な鉄則です。

【理由】 光は狭い穴(絞り)を通ると広がろうとする性質(回折)があります。F16やF22まで絞り込むと、この回折光の影響が強くなり、解像度が低下します。これを「小絞りボケ」と言います。Zレンズは開放からシャープなので、絞るのは「解像度を上げるため」ではなく「被写界深度(ピントの合う範囲)を調整するため」に行います。

【数値・設定例】 風景全体にピントを合わせたいパンフォーカス撮影でも、F8〜F11がベストバランスです。どうしてもシャッタースピードを落としたくてF16まで絞りたい場合は、NDフィルターを使用する光学的アプローチを採用してください。

【注意点】 センサーのダスト(ゴミ)はF値を大きくするほど目立ちます。F16まで絞って青空を撮ると、センサー上のゴミが黒い点として現れやすくなるため、清掃メンテナンスも重要になります。

接写性能(最大撮影倍率0.39倍)の実力

⚠️ 初心者がやりがちな失敗
「マクロレンズじゃないから寄れないだろう」と思い込み、無駄に離れて撮影していませんか?
Z 24-120mmは、レンズフードが被写体にぶつかる寸前まで寄れるレンズです。
一歩踏み込む勇気が、写真のインパクトを劇的に変えます。

ほぼハーフマクロ?花やテーブルフォトでの活用

【結論】 最大撮影倍率0.39倍というスペックは、一般的なズームレンズの倍(0.2倍程度)あり、ハーフマクロ(0.5倍)に迫る接写能力です。

【理由】 最短撮影距離0.35mはズーム全域でのスペックです。つまり、120mmの望遠状態で35cmまで寄れるということです。これにより、被写体を大きく引き寄せつつ、背景を大きく整理(圧縮・ボケ)することが物理的に可能になります。

【数値・設定例】 カフェで料理を撮る際、席に座ったまま、テーブルの上の料理を画面いっぱいに切り取れます。アクセサリーや腕時計の撮影でも、文字盤の質感まで克明に描写できるため、物撮り用レンズとしても一流の仕事をしてくれます。

【注意点】 あまりに寄りすぎると、自分の体やカメラの影が被写体に落ちてしまうことがあります。ライティングの位置や窓からの光の角度を計算に入れる必要があります。

最短撮影距離0.35mの取り回しとワーキングディスタンス

【結論】 ズーム全域0.35mというのは「レンズ先端から」ではなく「センサー面から」の距離です。実際にはレンズ先端から数センチまで迫れます。

【理由】 ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)が短いことは、狭い室内や混雑した場所での撮影で圧倒的な強みになります。後ろに下がるスペースがない状況でも、アップの写真を撮ることができるからです。

【数値・設定例】 花の撮影において、花芯(しべ)の部分をクローズアップで狙うことができます。このとき、120mm側を使えば背景がボケて色が混ざり合い、幻想的な作品になります。

【注意点】 フードの先端が被写体に触れてしまう事故が多発します。接写時はフードを外すか、細心の注意を払って距離感を掴んでください。

ボケの質(玉ボケ・二線ボケ・年輪ボケ)の検証

【結論】 ボケ味は非常に素直でクリーミーです。非球面レンズを使っているにも関わらず、年輪ボケ(玉ボケの中の同心円状の線)は目立ちません。

【理由】 ニコンはボケのシミュレーション技術に長けており、ピント面からアウトフォーカス部への移行が滑らかになるよう設計しています。二線ボケ(ボケの縁が強くなりざわつく現象)もよく抑えられており、背景がうるさくなりません。

【数値・設定例】 木漏れ日などを背景に入れると、口径食(ラグビーボール状の変形)は多少見られますが、F5.6程度まで絞れば円形に近づきます。イルミネーション撮影などでも、美しく整った玉ボケが期待できます。

【注意点】 背景に直線の構造物(フェンスなど)がある場合、状況によっては多少硬めの描写になることがあります。その場合は撮影位置を少しずらすだけで改善します。

テレマクロ撮影時の被写界深度と手ブレリスク

【結論】 接写時はピントの合う範囲が数ミリ単位になるため、シビアなピント合わせが求められます。また、拡大される分、手ブレも目立ちやすくなります。

【理由】 撮影倍率が高くなるほど、被写界深度は物理的に浅くなります。120mm F4で最短撮影距離で撮ると、ピント面は紙のように薄くなります。少し体が前後に動いただけでピンボケ写真になります。

【数値・設定例】 花全体にピントを合わせたいなら、思い切ってF8〜F11まで絞る必要があります。また、手ブレを防ぐためにISO感度を上げてシャッタースピードを1/200秒以上に保つか、三脚を使用するのが確実です。

【注意点】 風で被写体(花など)が揺れている場合、いくらカメラを固定しても被写体ブレは防げません。風が止むのを待つ忍耐力も「機材」の一部です。

焦点距離120mmがもたらす「圧縮効果」と構図

⚙️ 焦点距離別:画角と使い道リスト

焦点距離 効果・特徴 推奨シーン
24mm パースペクティブ強 壮大な風景、室内全体
50mm 人間の視野に近い スナップ、日常記録
85mm 歪みがなくボケる ポートレート、バストアップ
120mm 強力な圧縮効果 遠景の引き寄せ、抽象化

70mm、105mm、120mmの画角比較と視覚効果

【結論】 120mmの画角は、70mmとは明確に異なる「世界を切り取る」感覚を与えてくれます。たった50mmの差ですが、視覚心理学的なインパクトは倍以上です。

【理由】 70mmはまだ「日常の延長」にある画角ですが、100mmを超えると人間の肉眼では認識できない「圧縮」が始まります。遠くにある背景が手前の被写体に迫ってくるように見え、距離感が消失します。これにより、雑多な背景を整理し、主題だけを浮き立たせる「引き算の構図」が容易になります。

【数値・設定例】 街中のスナップで、人混みを120mmで切り取ると、密度感のあるドラマチックな写真になります。看板や信号機が重なり合うような、都会のジオラマ感を出すにはこの焦点距離が最適です。

【注意点】 圧縮効果は手ブレの影響も圧縮しません。画角が狭い分、少しのブレが大きく写るため、シャッタースピードの管理は広角時よりもシビアに行う必要があります。

ポートレートでの背景整理力と前ボケ・後ボケ

【結論】 ポートレートにおいて、120mmは「最強の背景整理ツール」です。余計な看板や通行人を画角外に追い出し、ボケの中に溶かし込むことができます。

【理由】 焦点距離が長くなるほど、写る背景の範囲(画角)は狭くなります。24mmでは背景の電柱まで全部写ってしまいますが、120mmならモデルの背後のわずかなスペースだけが背景になります。そこが綺麗な緑であれば、画面全体が緑のグラデーションになり、プロっぽい仕上がりになります。

【数値・設定例】 モデルから5メートルほど離れ、120mm F4で撮影します。手前に木の枝や花などを入れる「前ボケ」を作ると、望遠レンズ特有の大きなボケが生まれ、写真に奥行きと色彩のアクセントを加えることができます。

【注意点】 モデルとのコミュニケーション距離が遠くなるため、大声を出さないと指示が通らなくなります。静かな公園などでは恥ずかしい思いをすることもあるので、距離感には配慮が必要です。

風景撮影での「引き寄せ」効果とパースの消失

【結論】 遠くの山並みや、連なる鳥居などを撮る際、パース(遠近感)を消して平面的に重ねる表現が可能です。

【理由】 広角レンズは遠くのものを小さく写すため、雄大さは出ますが、要素が散漫になりがちです。望遠レンズは遠くのものを大きく写し、かつ前後の距離を縮めて見せるため、パターンやリズムを強調する表現に適しています。Z 24-120mmなら、広角で全体を撮った後、即座にズームして特定の部分を切り取るという一連の流れが1本で完結します。

【数値・設定例】 工場夜景などで、パイプや煙突が複雑に絡み合う様子を120mmで切り取ると、機械的な密度感が強調され、迫力満点の作品になります。

【注意点】 大気の影響(陽炎や霞)を拾いやすくなります。特に夏場の昼間などは、遠くの景色が空気の揺らぎでモヤモヤして解像しないことがあるため、撮影時間帯(早朝など)を選ぶ必要があります。

APS-Cクロップで180mm相当としての望遠運用

【結論】 高画素機(Z7/Z9など)やAPS-C機(Z50IIなど)で使う場合、DXクロップを活用することで180mm相当の本格的な望遠レンズに変身します。

【理由】 DXクロップはセンサーの中央部のみを使用するため、画素数は減りますが(4500万画素機なら約1900万画素)、画角は1.5倍になります。120mmの1.5倍は180mm。これはもう中望遠を超え、望遠レンズの領域です。動物園や運動会でも十分に戦える焦点距離になります。

【数値・設定例】 Z50IIに装着すれば、最初から36-180mm相当のレンズとして機能します。フルサイズ機ユーザーも、Fnボタンに「撮像範囲設定」を割り当てておけば、ワンタッチで1.5倍テレコンバーターを入れたような感覚で瞬時に画角を変えられます。

【注意点】 クロップしてもボケ量は変わりません(被写界深度は元のまま)。また、画素数が減るため、そこからさらにトリミングする耐性は落ちます。

動画撮影用レンズとしての適性

🎥 動画クリエイター視点
Z 24-120mmは、実は「シネマズームレンズ」としての資質も秘めています。
ズーム全域で変動しないF値と重心バランス、そして抑制されたブリージング。
これらは静止画よりも動画において、より大きな恩恵をもたらします。

フォーカスブリージングの抑制性能と光学設計

【結論】 動画撮影中にピント位置を変えても、画角がカクカク動く「ブリージング」がほぼ完璧に抑えられています。

【理由】 安価なレンズでピントを手前から奥へ送ると、画面がズームしたように動いてしまい、視聴者が酔ったり違和感を覚えたりします。S-Lineであるこのレンズは、光学設計のみならず、フォーカス群の制御によってこの現象を物理的に抑制しています。これにより、プロのような滑らかなフォーカス送りが可能になります。

【数値・設定例】 インタビュー撮影などで、話者の顔から手元の資料へピントを移動させる際、背景の大きさが変わらないため、非常に高品質な映像に見えます。

【注意点】 完全にゼロではありませんが、実用上は無視できるレベルです。少なくとも電子的なブリージング補正(画角がクロップされる機能)を使う必要がないレベルで補正されています。

ズーミング時の重心移動とジンバル運用の相性

【結論】 ズームしてもレンズの全長は伸びますが、重心移動は比較的穏やかで、強力なモーターを持つジンバルならバランス再調整なしで運用可能です。

【理由】 多くのズームレンズは、望遠側にすると重心が前方に大きく移動し、ジンバルがバランスを崩してカクつきます。Z 24-120mmは前玉群が軽いのか、内部設計の妙により、24mmでバランスを取っておけば、120mmまで伸ばしても、DJI RS3などの最新ジンバルならモーターパワーで耐えてくれます。

【数値・設定例】 基本的にジンバル運用時は50mm付近でバランスを取り、そこから前後ズームを使うのがコツです。これにより、ワンカットの中でズームインするようなダイナミックなワークも可能になります。

【注意点】 さすがにRS3 Miniなどの小型ジンバルでは、120mmまで伸ばすとモーター負荷警告が出る可能性があります。その場合はカウンターウェイトなどで物理的にバランスを取る必要があります。

コントロールリングのクリックレス操作と感度設定

【結論】 クリック感のないコントロールリングは、動画撮影中の絞り変更や露出補正を無音かつ滑らかに行うために不可欠です。

【理由】 一眼レフ時代のレンズは絞りリングがないか、あってもカチカチと音が鳴りました。Zレンズのコントロールリングは、摩擦抵抗だけのヌルッとした感触で、回す速度によって変化量を変える設定も可能です。これにより、屋内から屋外に出る際の露出変化を、アイリス(絞り)操作で自然に行えます。

【数値・設定例】 リングの感度を「低」にしておくと、大きく回しても数値がゆっくり変わるため、微調整がしやすくなります。逆に「高」にすれば、一瞬で端から端まで値を変更できます。

【注意点】 意図せず手が触れて設定が変わってしまう事故が起きやすいです。不要な場合は機能を「OFF」にするか、意識してリングに触れない持ち方を練習する必要があります。

ステッピングモーター(STM)の静粛性とマイク干渉

【結論】 AF駆動音は皆無に等しく、オンカメラマイク(カメラに乗せたマイク)で静かな部屋を撮影しても、モーター音を拾うことはありません。

【理由】 STMはパルス信号で制御されるため、ギアの摩擦音やDCモーターのような唸り音が物理的に発生しません。静寂な森の中での環境音録音や、ささやき声のVlog収録など、ノイズフロアが低い環境でその真価を発揮します。

【数値・設定例】 外部マイクを使わず、内蔵マイクで撮影する場合でも、このレンズならAF音を気にせずAF-C(常時AF)を使い続けられます。これはワンマンオペレーションのビデオグラファーにとって強力な武器です。

【注意点】 レンズ自体の音はしませんが、ズームリングを回すときの手の擦過音はマイクに入ります。ズーム操作は慎重に行うか、編集時に音声をカットする工夫が必要です。

ライバル比較|24-70mm F2.8 vs 24-200mm

⚖️ 比較マトリクス表

レンズ 24-120 f/4 24-70 f/2.8 24-200 f/4-6.3
解像力 極めて高い 最高峰 普通(便利重視)
ボケ量
重量 630g 805g 570g

vs 24-70mm f/2.8 S|F2.8のボケか、120mmの距離か

【結論】 仕事でポートレートや屋内イベントを撮るなら大三元のF2.8。旅行や風景メインなら24-120mm F4の方が幸せになれます。

【理由】 24-70mm f/2.8 Sは確かに画質もボケも最高ですが、70mmまでしか寄れないという物理的制約があります。「あと一歩寄りたい」という場面でトリミングを強いられるよりは、光学的に120mmまで届くF4レンズの方が、最終的な画質(画素数維持)で勝るシーンが多いです。

【数値・設定例】 ISO感度耐性が上がった現代のカメラ(Z6II以降など)であれば、F2.8とF4の1段分の差は、ISO感度アップで十分カバーできます。ボケ量に関しても、120mm F4のボケは70mm F2.8のボケに量感で肉薄します。

【注意点】 ただし、星景写真など「シャッタースピードを稼ぎつつISOを下げたい」絶対的な光量不足のシーンでは、F2.8の明るさが物理的に不可欠です。

vs 24-200mm|高倍率ズームとの「画質の壁」と周辺減光

【結論】 「記録」なら24-200mm、「作品」なら24-120mm。この2本の間には明確な画質の壁(S-Lineか否か)が存在します。

【理由】 24-200mmは非常に便利なレンズですが、望遠側の開放F値が暗く、周辺減光や四隅の解像力低下が見られます。特にPCの大画面で等倍確認すると、細部の甘さが気になってくるでしょう。24-120mmはどの焦点距離でも四隅まで破綻しません。

【数値・設定例】 旅行で「荷物を極限まで減らしたい、レンズ交換は絶対にしない」というなら24-200mmが正解ですが、「最高の景色を最高画質で残したい」という欲があるなら、60g重くても、ズーム倍率が低くても、24-120mmを持っていくべきです。

【注意点】 24-200mmは寄れない(最短撮影距離が長い)ことも弱点です。テーブルフォトなどが苦手なので、旅先での食事も撮りたいなら24-120mm一択です。

vs Tamron 35-150mm|明るさか純正の信頼性か

【結論】 タムロンの35-150mm F2-2.8は魅力的ですが、重量(1kg超え)と広角端35mmスタートという点がネックになります。

【理由】 24mmスタートと35mmスタートは、風景写真において雲泥の差があります。24mmなら壮大な建物を一枚に収められますが、35mmでは入り切らず、後ろに下がる必要があります。下がれない場所では撮影不能になります。

【数値・設定例】 ポートレート専用機として割り切るならタムロンは最高ですが、汎用レンズとしては、24mm始まりで630gの純正24-120mmの方が、物理的な負担(肩への食い込み)が段違いに軽いです。

【注意点】 サードパーティ製レンズは、将来的なカメラ側のファームウェアアップデートでAF性能などが制限されるリスクもゼロではありません。長く安心して使うなら純正が無難です。

重量630gは「重い」か「軽い」か?重心バランス論

【結論】 単体で数値だけ見ると重く感じるかもしれませんが、Z6/Z7系ボディに装着した時のバランスは完璧で、体感重量は数値より軽く感じます。

【理由】 重さの感じ方は重心位置で決まります。重心がボディ側(マウント側)にある設計のため、構えた時に左手で支えやすく、テコの原理で軽く感じます。フロントヘビーなレンズはずっと持っていると手首が痛くなりますが、このレンズは一日中振り回しても疲れにくいです。

【数値・設定例】 ネックストラップではなく、ブラックラピッドのような斜めがけストラップや、ピークデザインのキャプチャーを使うと、630gという重量は全く気にならなくなります。

【注意点】 ZfcやZ50などの小型ボディに装着すると、さすがにフロントヘビーになります。その場合は後付けグリップでボディ側のホールド感を増す物理的な対策推奨です。

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写真の教科書 編集部では、
カメラ初心者から中級者の方に向けて、
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