【脱・手ブレ】シャッタースピードを完全攻略|「止める」と「ブラす」を使いこなす

カメラ

「せっかくの運動会、子供が全部ブレてた…」
「滝を絹糸みたいに滑らかに撮ってみたいけど、やり方がわからない」

その悩み、すべて「シャッタースピード(SS)」の設定で解決します。

F値(絞り)が「ボケ」を作るなら、シャッタースピードは「時間」を操ります。
一瞬を凍りつかせたり、時間の流れを写真に閉じ込めたり。
これを使いこなせば、あなたの写真は「記録」から「作品」へと進化します。

今回は、初心者でも失敗しないシャッタースピードの決め方を、図解たっぷりで解説します。
(※見やすさ重視で、表や図はシンプルな3色カラーで統一しています)

⏱ この記事でわかること(結論)

  • 基本の考え方:シャッター速度は「蛇口を開けている時間」。
  • 失敗しない法則:手ブレを防ぐ「1/焦点距離」の公式。
  • 表現の使い分け:1/1000秒で止めるか、1秒で流すか。
  • マニアック領域:NDフィルターと「バルブ撮影」の世界。
目次

1. シャッタースピードとは?|「蛇口」でイメージしよう

カメラ

カメラの中に光を取り込む時間は、シャッタースピードで決まります。
これを「水道の蛇口」に例えると一発で理解できます。

🚰 シャッタースピードと光の関係

  • コップ = 写真の適正な明るさ
  • 蛇口から出る水 = 光
  • 蛇口を開けている時間 = シャッタースピード

蛇口を一瞬しか開けない(1/1000秒)と、水(光)は少ししか溜まりません。
蛇口を長く開ける(1秒)と、水(光)はたくさん溜まります。

2. 「止める」か「流す」か|表現の分岐点

シャッタースピードを変えることで、写真の写り方は劇的に変わります。
大きく分けて2つの方向性しかありません。

設定 秒数(例) 効果 被写体
高速シャッター 1/1000秒 〜 1/4000秒 一瞬を静止させる 走る子供、スポーツ、水しぶき、野鳥
中速シャッター 1/60秒 〜 1/250秒 見たままに近い スナップ、ポートレート、風景
低速シャッター 1/15秒 〜 30秒 動きをブラす(流す) 滝の流れ、車のテールランプ、星空

3. 初心者の敵「手ブレ」を防ぐ唯一の公式

「室内で撮ったら全部ブレてた…」
これはシャッタースピードが遅すぎることが原因です。
カメラ業界には、絶対に覚えておくべき「手ブレ限界の公式」があります。

📏 1 / 焦点距離 の法則

「シャッタースピードは、1 / 焦点距離 より速くする」

これより遅くなると、手ブレする確率が激増します。

  • 50mmのレンズを使う時:1/50秒より速くする(1/60秒とか1/100秒)。
  • 200mmの望遠レンズを使う時:1/200秒より速くする(1/250秒など)。

※最近のカメラは高画素化しているので、安全を見て「1 / 焦点距離 × 2」くらいにしておくと安心です。

手ブレ補正(IS)があれば無敵?

最近のカメラやレンズには「手ブレ補正(IS/VR/OSS)」がついています。
これがあると、理論値よりも「2段〜5段」遅くしてもブレなくなります。

焦点距離 手ブレ限界(補正なし) 手ブレ補正あり(目安)
24mm(広角) 1/30秒 1/2秒(手持ち夜景もいける)
50mm(標準) 1/60秒 1/4秒
200mm(望遠) 1/250秒 1/15秒(でも被写体が動くとブレる)
⚠️ 注意:被写体ブレは防げない手ブレ補正は「あなたが震えるの」を止めてくれますが、「子供が走り回るの」は止められません。
被写体が動いている場合は、手ブレ補正に関係なく、シャッタースピードを速く(1/250秒以上)する必要があります。

4. 【完全版】シャッタースピード別・表現カタログ

「この被写体なら何秒?」という疑問にすべて答えます。
迷ったらこの数値に合わせてください。

🦅 1/4000秒 〜 1/2000秒(世界を凍結させる)

被写体:カワセミのダイブ、F1レース、水風船が割れる瞬間

人間の目では絶対に見えない「一瞬」を切り取ります。
ただし、光を取り込む時間が極端に短いので、写真は真っ暗になりがちです。
晴天の屋外か、ISO感度をガッツリ上げる必要があります。

🏃‍♂️ 1/1000秒 〜 1/500秒(スポーツ・アクション)

被写体:運動会の徒競走、サッカー、ジャンプした犬

走っている人間をピタッと止めるなら「1/500秒」が基準です。
プロのスポーツカメラマンは、さらに余裕を持って1/1000秒以上を使います。

👶 1/250秒(子供・ペット)

被写体:室内で遊ぶ子供、猫、スナップ

「子供がブレる!」という悩みは、だいたい1/60秒とかで撮っているのが原因です。
室内でも頑張って1/250秒まで上げてください。
ISO感度が3200とか6400になっても、ブレている写真よりは100倍マシです。

🚶 1/125秒 〜 1/60秒(基本の速度)

被写体:止まっている人、料理、風景

手ブレするかしないかの境界線です。
50mmのレンズを使うなら、1/60秒が「安全圏の下限」だと思ってください。
これより遅くすると、気を抜くとブレます。

🏎 1/30秒 〜 1/15秒(流し撮り・ブラし)

被写体:流し撮りする車、躍動感のあるダンス

あえてブラすことで「動き」を表現する領域です。
背景をビュンと流して、車だけ止める「流し撮り」は、この速度域で行います。

🌌 1秒 〜 30秒(長時間露光)

被写体:滝、夜景、星空、花火

三脚が必須の世界です。
川の水面が鏡のようになったり、通行人が消えたり、肉眼では見えない幻想的な世界が撮れます。

【上級テクニック】「流し撮り」でスピード感を出す

サーキットや鉄道写真でよく見る「背景がビューンと流れている写真」。
あれはPhotoshopの加工ではなく、シャッタースピードの魔術です。

📸 流し撮りのステップ

  1. Sモードにして「1/30秒」〜「1/60秒」に設定する。
  2. 連写モードにする。
  3. 被写体(車や電車)の動きに合わせて、カメラを横に振る。
    腰を回転軸にして、スムーズに振るのがコツです。
  4. 追いかけながらシャッターを切る。
    撮り終わった後も、フォロースルー(振り切る動作)をするのが大事。

※成功率はプロでも低いです。100枚撮って1枚あればラッキー、という気持ちで挑みましょう。

🧐 手ブレ補正の「モード」を使い分けろ!高級レンズには、手ブレ補正(IS/VR)のスイッチに「MODE 1」「MODE 2」と書いてあることがあります。

  • MODE 1(ノーマル):上下左右すべてのブレを止めようとする。
    → 流し撮りの時に使うと、カメラを振る動作(パンニング)まで「ブレ」だと誤認識して、無理やり止めようとして画角がガクガクします。
  • MODE 2(流し撮り専用):上下のブレだけを止める。
    → 横方向の動きは補正しないので、流し撮りがスムーズに決まります。

流し撮りをする時は、必ず「MODE 2」に切り替えるか、手ブレ補正をOFFにしましょう。

5. Sモード(Tvモード)はいつ使うの?

カメラ

「普段はAモード(絞り優先)がいいよ」と教えましたが、Sモード(シャッター優先)が輝く瞬間もあります。

🚀 Sモードが適しているシーン

  • 絶対に被写体を止めたい時
    運動会で「1/1000秒」に固定して、絶対にブレない写真を量産する。
  • 意図的にブラしたい時
    滝を撮る時に「0.5秒」に固定して、水を糸のように表現する。

つまり「時間の流れをコントロールしたい時」だけ、Sモードに切り替えればOKです。

【魔法の世界】滝を「絹糸」のように撮る方法

インスタグラムでよく見る、水がサラサラと流れている写真。
あれは「スローシャッター(長時間露光)」で撮っています。

🌊 滝撮影のレシピ

  • 三脚にカメラを固定する。(絶対必須)
  • Sモードで「1秒」〜「4秒」に設定する。
  • ISO感度を「100(最低)」にする。
  • セルフタイマーを「2秒」に設定して撮る。
    シャッターボタンを押す瞬間のブレ(押しブレ)を防ぐためです。

昼間にスローシャッターが切れない!?「NDフィルター」の出番

晴れた日に「1秒」で撮ろうとすると、画面が真っ白になりませんか?
それは光が入りすぎているからです(F22まで絞っても限界があります)。

そんな時は、レンズに「NDフィルター(サングラス)」を装着します。
「ND16」や「ND64」を使えば、真昼間でも数秒間のシャッターを切ることができます。
風景写真家のカバンには、必ずこのフィルターが入っています。

5. 知らないと失敗する「シャッターの副作用」

シャッタースピードには、初心者がハマりやすい「3つの罠」があります。

① フリッカー(蛍光灯のチラつき)

室内で連写したら、写真の色が「黄色っぽかったり、青っぽかったり」バラバラになることがあります。
これは蛍光灯が高速で点滅しているからです(東日本は1/100秒、西日本は1/120秒)。

対策:
シャッタースピードを「1/100秒(関東)」か「1/60秒(関西)」に合わせる。
または、カメラの「フリッカーレス撮影機能」をONにする。

② ローリングシャッター歪み(こんにゃく現象)

電子シャッター(サイレント撮影)で高速で動くもの(ゴルフのスイングやプロペラ)を撮ると、グニャリと歪んで写ることがあります。
これは、センサーが上から下へ順番に読み取っている間に、被写体が動いてしまうからです。

対策:
動くものを撮るときは「メカシャッター(カシャッと音がする方)」を使う。
(※最近の高級機(積層型センサー)は歪みません)

③ ストロボの「同調速度限界(シンクロ速度)」

フラッシュ(ストロボ)を使う時、シャッタースピードを「1/4000秒」とかにすると、写真の半分が真っ暗になることがあります(幕切れ)。
これは、シャッター幕の動きが速すぎて、フラッシュの光が間に合わないからです。

対策:
普通のストロボを使う時は「1/200秒」か「1/250秒」以下にする。
それ以上速くしたい場合は「ハイスピードシンクロ(HSS/FP発光)」対応のストロボを使う。

【マニアック】シャッター幕の構造と「1/8000秒」の正体

「1/8000秒でシャッターが開く」と聞くと、センサー全体が一瞬だけパカッと開くイメージがありませんか?
実は違います。
一眼レフやミラーレスの「フォーカルプレーンシャッター」は、2枚のカーテン(先幕と後幕)で動いています。

スリット露光の仕組み

1/250秒(シンクロ速度)より速い速度では、先幕が走り出した直後に、後幕が追いかけます。
つまり、「細いスリット(隙間)」がセンサーの上を走査しているだけなのです。
全画面が同時に露光しているわけではありません。

これが「ストロボが幕切れする理由」であり、「高速移動体が歪む(ローリングシャッター)理由」でもあります。
(※最新の「グローバルシャッター」搭載機だけは、全画素同時露光が可能です)

動画撮影における「180度ルール」とは?

最近はカメラで動画を撮る人も増えましたが、動画のシャッタースピードは写真とは全く違うルールがあります。
それが「180度あけて撮る(フレームレートの2倍にする)」という鉄則です。

フレームレート 適正シャッタースピード 理由
24fps(映画風) 1/50秒 適度な「被写体ブレ(モーションブラー)」が入り、動きが滑らかに見える。
30fps(テレビ風) 1/60秒 人間の目で見た自然な動きに一番近い。
60fps(YouTube等) 1/125秒 ヌルヌル動く映像用。ゲーム実況やスポーツ中継など。
⚠️ 動画でSSを上げすぎるとどうなる?例えば24fpsの動画を「1/1000秒」で撮ると、パラパラ漫画のようになってしまいます。
動きがカクカクして、見ていて目が疲れる映像になります。
(※映画『プライベート・ライアン』の戦闘シーンなど、あえて臨場感を出す演出として使われることはあります)

【プロ級】シャッタースピードよりも速い「閃光時間」

水風船が割れる瞬間や、ミルククラウンを撮りたい時、実はシャッタースピードは使いません。
なぜなら、カメラのSSは1/4000秒や1/8000秒が限界だからです。
本当に高速な現象を止めるには「ストロボ(フラッシュ)」を使います。

⚡️ 閃光時間(Flash Duration)の魔法

ストロボの光は、一瞬で消えます。
特にパワーを弱く設定(1/128発光など)すると、光っている時間は「1/20,000秒」や「1/40,000秒」という神速になります。

真っ暗な部屋でシャッターを「3秒(Bulb)」開けておき、その瞬間に「パチッ」とストロボを焚けば、カメラの性能を超えた「1/40,000秒の世界」が写るのです。

NDフィルターの選び方・完全ガイド

「滝を撮りたいけど、どのNDフィルターを買えばいいの?」
NDフィルターには濃さ(番手)があります。
安物(可変ND)は色ムラが出やすいので、最初は固定のNDフィルターがおすすめです。

種類(ND番号) 光量ダウン 主な用途
ND4 〜 ND8 1/4 〜 1/8 動画撮影用、曇りの日のスローシャッター。
少しだけ暗くしたい時。
ND16 〜 ND32 1/16 〜 1/32 昼間のポートレート用
晴天下でF1.4を使いたい時。
ND400 〜 ND1000 1/400 〜 1/1000 滝・海のスローシャッター用
昼間でも「30秒」とか切れるようになる。
人が消える写真を撮るならこれ。
ND100000 1/10万 太陽撮影(金環日食)専用
これ以外で太陽を見るとセンサーが焼ける。

【上級編】後幕シンクロとハイスピードシンクロ

ストロボを使うなら、知っておくと周りと差がつくテクニックが2つあります。

① 後幕(あとまく)シンクロ

通常、ストロボはシャッターが開いた瞬間に光ります(先幕シンクロ)。
しかし、走っている車を撮ると「光の軌跡が車の前方」に出てしまい、バックしているように見えます。

後幕シンクロに設定すると、シャッターが閉じる直前に光ります。
すると「光の軌跡が車の後方」に出るので、疾走感が表現できます。
夜景ポートレートで、歩く人の残像を後ろに出したい時にも使えます。

② ハイスピードシンクロ(HSS/FP)

昼間のポートレートで「背景をボカしたいからF1.8にしたい」
でも「逆光だからストロボも焚きたい」
そんな時、シャッタースピードが1/4000秒などになり、通常のストロボ(上限1/200秒)は使えません。

そこでHSS対応のストロボを使います。
猛烈な速さで「パパパパッ」と連続発光することで、1/8000秒でも全画面を照らすことができます。
(※パワーが落ちるのが欠点ですが、日中シンクロには必須です)

【マニアック】微ブレの正体「シャッターショック」

「三脚に立てたのに、なんか1/100秒前後の写真だけ微妙にブレてる…」
そんな経験はありませんか?
それは、シャッター幕が動く衝撃そのものでカメラが揺れている可能性があります。

💥 シャッターショック対策:電子先幕シャッターメカシャッターは「ガシャッ」と動きます。
この「ガ」の瞬間に微振動が起きます。
これを防ぐために、最近のカメラには「電子先幕シャッター(EFCS)」という機能があります。

これは「スタート(先幕)」だけ電子的に行って、「終わり(後幕)」だけメカで閉じる機能です。
振動がゼロになるので、高画素機での風景撮影や、マクロ撮影では必須の設定です。

【歴史コラム】なぜ「B」をバルブと呼ぶの?

長時間露光の「B」モード。
これは昔、空気圧でシャッターを開閉していた時代の名残です。
ゴム球(エアバルブ)を握って空気を送り込んでいる間だけシャッターが開いていたので、「Bulb」と呼ばれるようになりました。

ちなみに昔のカメラには「T(タイム)」というモードもありました。
これは「一回押すと開きっぱなし、もう一回押すと閉じる」という便利なモードでしたが、現代のカメラではあまり見かけなくなりました。

【アート表現】光で絵を描く「ライトペインティング」

スマホのライトで文字を書くだけでなく、もっと高度な遊び方があります。

🚗 都会のレーザービーム(車の光跡)夜の歩道橋の上などがベストスポットです。

  • 設定:ISO100、F11〜F16、シャッター10秒〜20秒。
  • コツ:信号が変わるタイミングを見計らって、車がたくさん通る時にシャッターを切る。
  • バスやトラックなど「背の高い車」が通ると、高い位置に光の線ができて迫力が出ます。
🔥 スチールウール・スピニング海外で流行している、火花を散らす撮影法です。
※火気厳禁の場所では絶対にやらないでください。

  • スチールウール(金たわし)を泡立て器に入れて、紐をつけて回す。
  • 火をつけると、遠心力で火花が周囲に飛び散る。
  • これをスローシャッター(10秒など)で撮ると、炎のドームのような写真になります。

30秒待たされる時間?「長秒時ノイズ低減」の正体

星空撮影などで「30秒」の写真を撮った後、カメラの画面が真っ暗なまま「処理中…」と表示されて、もう30秒待たされることがありませんか?
これは「長秒時ノイズ低減(ダークフレーム減算)」という機能が働いているからです。

🌚 ダークフレーム減算とは?

  1. まず普通に写真を撮る(30秒)。
  2. 次にシャッターを閉じたまま、もう一回同じ時間(30秒)撮影する。
  3. 2枚目の「真っ黒な画像(ノイズだけが写っている)」を、1枚目の写真から引き算する。

こうすることで、センサーの熱によって発生する「ホットピクセル(赤い点々)」を綺麗に消すことができます。
待ち時間が嫌ならOFFにできますが、画質優先ならON(またはAUTO)がおすすめです。

【星景写真】500ルールとNPFルール

星を「点」として止めたいなら、シャッタースピードの計算が必要です。
昔からあるのが「500ルール」ですが、最近の高画素機では少し甘いです。

🌠 500ルール(簡易版)

500 ÷ 焦点距離 = 上限シャッタースピード

  • 24mmレンズの場合:500 ÷ 24 ≒ 20秒
  • 14mmレンズの場合:500 ÷ 14 ≒ 35秒

ただし、最近の4000万画素クラスのカメラだと、この計算では拡大した時に少し星が伸びて見えます。
その場合は「NPFルール」という複雑な計算式を使うか、シンプルに「500ルールより少し短く(15秒など)」するのが無難です。

【スポーツ撮影】AFが追いつかない時の奥義「置きピン」

F1レースやバイクなど、時速300kmで近づいてくる被写体は、カメラのオートフォーカス(AF)でも追いつかないことがあります。
そんな時、プロはシャッタースピードを上げつつ、ピント合わせをやめます。

📍 置きピン(Zone Focusing)のやり方

  1. コース上の「ここを通る!」という場所(看板や白線)にあらかじめピントを合わせておく(AFロック or MF)。
  2. シャッタースピードを「1/2000秒」以上に設定する。
  3. 被写体がその「見えないライン」を通過した瞬間に、連写でシャッターを切る。

AFの迷いをゼロにできるので、決定的瞬間を逃しません。
これは鉄道写真でもよく使われるテクニックです。

30秒じゃ足りない!「バルブ(Bulb)撮影」の世界

カメラのシャッタースピードは、通常「30秒」が限界です。
しかし、花火や星の軌跡(スタートレイル)を撮るには、数分〜数時間必要です。
そこで使うのが「Bulb(バルブ)」モードです。

🌌 バルブ撮影のやり方

  • モードダイヤルを「B」にする(またはMモードでSSを30秒以上に回す)。
  • シャッターボタンを押している間だけ、シャッターが開く。
  • 指で押し続けるとブレるので、「レリーズ(リモコン)」を使ってボタンをロックする。

※最近のカメラはスマホアプリで操作できるので、レリーズがなくても大丈夫な場合が多いです。

6. 【保存版】シーン別・シャッタースピード設定一覧

カメラ

「この場面、何秒だっけ?」と迷ったら、この表を見てください。
これを基準にして、微調整すれば百戦危うからずです。

被写体・シーン 推奨設定 ポイント
飛行機・鳥(飛翔) 1/2000秒以上 止めるなら徹底的に。プロペラ機の場合はあえて1/125秒にしてプロペラを回すテクもある。
運動会・サッカー 1/1000秒 手足の先までビシッと止める。
走り回る子供 1/500秒 1/250秒だと被写体ブレすることがある。余裕を持つなら1/500秒。
室内・カフェ 1/125秒 手ブレ防止の最低ライン。暗いならISOを上げる。
街中のスナップ 1/250秒 歩いている人を止めるならこれくらい必要。
流し撮り(車・電車) 1/30秒 〜 1/60秒 練習が必要。最初は1/60秒から始めて、慣れたら遅くしていく。
滝・渓流 1秒 〜 4秒 三脚必須。NDフィルターが必要になることが多い。
星空撮影 15秒 〜 20秒 これ以上長くすると、地球の自転で星が楕円に伸びてしまう(500ルール)。
花火 バルブ(4秒〜10秒) 打ち上がった瞬間にシャッターを押し、開いた瞬間に離す。

7. シャッタースピードと「画質」の等価交換

最後に、一番大切な話をします。
「シャッタースピードを速くするには、代償が必要」だということです。

🔺 露出のトライアングル

シャッタースピードを速くする(1/1000秒)ということは、「光を取り込む時間を短くする」ということです。
当然、写真は暗くなります。
その明るさを補うために、以下のどちらかを犠牲にしなければなりません。

  • F値を小さくする(絞りを開ける)
    → 背景がボケてしまう(全体にピントを合わせたい時に困る)。
  • ISO感度を上げる
    → ノイズが増えて画質がザラザラになる。

「動きを止めたいから1/4000秒にする!」と安易に決めると、ISO感度が12800まで跳ね上がってザラザラ写真になるかもしれません。
「どこまで画質を許容できるか」と「どこまで動きを止めたいか」のバランスを取るのが、カメラマンの腕の見せ所です。

8. 【実践】今すぐできるシャッタースピード特訓

読むだけでは写真は上手くなりません。
この週末、以下の3つのステップを試してみてください。

ステップ1:水道の水を「止める」

家の中でできます。

  1. キッチンの蛇口から水を出す(少し強めに)。
  2. Sモードで「1/4000秒」に設定する(ISO感度はオート)。
  3. 水流を撮る。

肉眼では繋がって見える水が、一粒一粒の「玉」として写っているはずです。
これが「高速シャッターの世界」です。

ステップ2:スマホのライトで「文字を書く」

部屋を真っ暗にします。

  1. カメラを机か三脚に固定する。
  2. Sモードで「10秒」に設定する。
  3. セルフタイマーを押して、シャッターが開いている間にスマホのライトで空中に文字(ハートマークなど)を書く。

光の軌跡が写真に残ります。
これが「長時間露光(ライトペインティング)」の基本です。

9. よくある質問(FAQ)|Q&A

Q. シャッターを切るたびに「ジジッ」と音がします。故障ですか?
A. それはレンズの「手ブレ補正(IS/VR)」が動いている音です。
故障ではありません。
シャッター半押し中はずっと鳴り続ける仕様のレンズもあります。

Q. 昼間にスローシャッターを切りたいけど、NDフィルターを持っていません。
A. 裏技として「絞りをF22まで絞る」「ISOをL(50)まで下げる」という手があります。
それでも1秒も確保できない場合は、サングラスをレンズの前にかざしてみてください。
画質は落ちますが、代用品にはなります。

Q. 電子シャッターとメカシャッター、どっちがいいの?
A. 基本は「電子先幕シャッター(オート)」でOKです。
ゴルフなどの高速移動体を撮る時だけ「メカシャッター」、静かな場所で撮る時は「電子シャッター(サイレント)」と使い分けるのが上級者です。
電子シャッターはシャッターユニットが摩耗しないので、寿命が伸びるというメリットもあります。

10. まとめ|時間はあなたが支配する

シャッタースピードを理解すれば、目に見えない一瞬を可視化できます。
最後に、今日から使える「鉄の掟」を復習しましょう。

🏆 シャッタースピード・マスターの掟

  • 基本は「Aモード」でOK。
    ただし、手ブレしないように「1/焦点距離」を意識する。
  • 子供・ペットは「1/250秒」が最低ライン。
    室内ならSモードに切り替えて、ISOオートで感度を上げる。
  • 動画を撮るなら「1/50秒(または1/60秒)」。
    これを守らないと、パラパラ漫画みたいになる。
  • 滝や星は「三脚 × スローシャッター」。
    NDフィルターとレリーズがあれば、プロと同じ写真が撮れる。

F値が「空間(ボケ)」を切り取るなら、シャッタースピードは「時間」を切り取ります。
この2つを自在に操れるようになった時、あなたのカメラライフは完全に自由になります。
失敗してもいいんです。写真はデジタルなので、何枚でも撮り直しがききます。
ブレた写真も「味」だと思って、とにかくシャッターを切りまくってください。
さあ、今すぐ外に出て「見えない時間」を撮りに行きましょう。

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この記事を書いた人

写真の教科書 編集部では、
カメラ初心者から中級者の方に向けて、
設定・用語・撮影の考え方をわかりやすく整理しています。

「感覚」や「経験」ではなく、
理屈から理解できる解説を大切にしています。

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