「オリンパスのカメラ ペンって、見た目はかわいいけど性能は大丈夫なの?」という疑問を持つ方は少なくありません。結論から言えば、オリンパス ペンシリーズは物理法則に基づいた光学設計によって、337gのボディに2030万画素・5軸手ぶれ補正4.5段分という性能を詰め込んだカメラです。センサーサイズがフルサイズの約1/4であるマイクロフォーサーズ規格を採用することで、レンズを含めたシステム全体を小型化しながら、実用上十分な画質を確保しています。この記事では、オリンパス ペンの最新モデルE-P7を中心に、なぜ小さいのに高画質なのかを物理法則と数値で解説します。
・オリンパス ペンが小型軽量でも高画質を実現できる物理的理由
・最新モデルE-P7の2030万画素センサーと画像処理エンジンの実力
・マイクロフォーサーズレンズの換算倍率2倍を活かした撮影テクニック
・シーン別の具体的な設定値と、購入前に知っておくべき注意点
オリンパスのカメラ ペンとは?337gに2030万画素を凝縮したミラーレス機の正体
1959年のハーフサイズカメラから始まった「小さく高性能」の設計思想
オリンパス ペンの原点は、1959年に発売されたフィルムカメラ「オリンパス ペン」です。当時の標準である35mmフィルムの半分のサイズ(ハーフサイズ)で撮影する設計を採用し、1本のフィルムで通常の2倍の枚数を撮影できました。35mmフィルムの画面サイズは36×24mmですが、ハーフサイズは18×24mmです。面積比で50%に縮小することで、レンズの設計に必要なイメージサークルの直径が約30mmから約24mmに縮小し、レンズ全体を小型化できました。この「センサー(フィルム)面積を最適化してシステム全体を小型化する」という設計哲学が、現在のデジタルペンシリーズにもそのまま受け継がれています。設計思想としては60年以上一貫しており、デジタル時代においてはマイクロフォーサーズ規格(17.3×13mm)として結実しました。
現行モデルE-P7の基本スペック|OMデジタルソリューションズが継承した最新機
2021年6月にOMデジタルソリューションズ(旧オリンパス映像事業部門)から発売されたPEN E-P7が、2026年4月現在のPENシリーズ最新モデルです。主なスペックは、有効画素数2030万画素の4/3型Live MOSセンサー、画像処理エンジンTruePic VIII、ボディ内5軸手ぶれ補正(最大4.5段分)、ISO感度200〜25600(LOW設定でISO100相当)、3.0型チルト式タッチパネル液晶(約104万ドット)です。ボディ重量は約337g(バッテリー・メモリーカード含む)で、同クラスのAPS-Cミラーレス機(平均400〜500g)より約100〜160g軽量です。ボディ単体の実売価格は2026年現在で約8〜9万円前後となっています。
「OLYMPUS」ブランドと「OM SYSTEM」ブランドの関係を整理する
2021年1月にオリンパス株式会社の映像事業部門がOMデジタルソリューションズ株式会社として独立しました。PEN E-P7はOMデジタルソリューションズとして初めて発売されたカメラですが、ブランド名は「OLYMPUS」のまま販売されています。2022年以降に発売されたOM-5やOM-1などのOM-Dシリーズは「OM SYSTEM」ブランドに変更されましたが、PENシリーズは「OLYMPUS」ブランドを維持しています。レンズマウントはすべてマイクロフォーサーズマウントで共通のため、OM SYSTEMブランドのレンズもPENシリーズで問題なく使用できます。マウント規格が同一であるため、光学的な互換性は100%確保されています。
オリンパスのカメラ ペンが採用するマイクロフォーサーズの物理的メリット
センサー面積がフルサイズの約1/4でもシステム重量が半分以下になる理由
マイクロフォーサーズのセンサーサイズは17.3×13mm(面積約225mm²)で、フルサイズの36×24mm(面積864mm²)と比較すると約26%の面積です。レンズの設計において重要なのはイメージサークルの直径で、マイクロフォーサーズは約21.6mm、フルサイズは約43.3mmです。レンズの重量はイメージサークルの直径のおよそ3乗に比例するため、理論上マイクロフォーサーズのレンズはフルサイズ用の約(21.6/43.3)³≒0.125、つまり約1/8の重量で設計できます。実際には周辺光量の確保や収差補正のために理論値どおりにはなりませんが、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(137g)はフルサイズ用50mm F1.8(平均約185〜230g)より30〜40%軽量です。ボディとレンズを合わせたシステム重量で比較すると、オリンパス ペン+標準レンズが約470g、フルサイズ機+標準レンズが約900〜1100gとなり、半分以下を実現しています。
焦点距離換算2倍がもたらす望遠側の有利性|300mm相当が150mmレンズで手に入る
マイクロフォーサーズはフルサイズ換算で焦点距離が2倍になります。これはセンサーサイズが小さいことでレンズの中央部分だけを切り取って使う「クロップ効果」によるものです。物理的には、同じ焦点距離のレンズで撮影した場合、センサーが小さいほど画角が狭くなります。画角の計算式は「画角=2×arctan(d/(2f))」で、dはセンサーの対角長、fは焦点距離です。マイクロフォーサーズの対角長21.6mmとフルサイズの43.3mmの比率がほぼ1:2であるため、換算倍率が2倍となります。この特性により、M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIというレンズ1本で、フルサイズ換算150-600mm相当の超望遠域をカバーできます。このレンズの重量はわずか423gで、フルサイズ用の150-600mmズーム(約2000〜2800g)の1/5以下です。野鳥撮影やスポーツ撮影で持ち運びの負担が大幅に減少します。
被写界深度が深い=パンフォーカスが得やすい物理的根拠
マイクロフォーサーズはフルサイズと比べて同じ画角・同じ絞り値で撮影した場合、被写界深度が約2段分深くなります。これは錯乱円の許容径がセンサーサイズに比例するためです。フルサイズの標準的な許容錯乱円径は0.03mmですが、マイクロフォーサーズでは0.015mmです。被写界深度の計算では許容錯乱円径が小さいほど被写界深度が浅くなるように思えますが、同じ画角を得るために焦点距離が半分のレンズを使う効果のほうが大きく、結果として被写界深度は深くなります。具体的には、フルサイズで50mm F4.0の被写界深度は、マイクロフォーサーズで25mm F4.0とほぼ等価で、このときマイクロフォーサーズのほうが約2倍の被写界深度を持ちます。風景撮影でF5.6〜F8.0に絞れば手前1mから無限遠までピントが合うパンフォーカスが容易に得られるため、風景やスナップ撮影では有利に働きます。
被写界深度は「焦点距離の2乗」に比例して浅くなります。マイクロフォーサーズでは同じ画角を得るために焦点距離がフルサイズの1/2になるため、被写界深度への影響は(1/2)²=1/4。つまり同じ画角・同じF値でもフルサイズより被写界深度が4倍深くなる計算です(許容錯乱円の補正を加えると実質約2倍)。
オリンパスのカメラ ペンE-P7の画質性能|2030万画素とTruePic VIIIの実力
画素ピッチ3.3μmが意味するもの|ノイズと解像度のトレードオフ
PEN E-P7のセンサーは有効2030万画素を17.3×13mmのセンサーに配置しています。画素ピッチは約3.3μmで、フルサイズ2400万画素機の画素ピッチ約5.9μmと比較すると約56%の大きさです。画素ピッチが小さいほど1画素あたりの受光面積が減少し、光子の捕捉数が減るため、信号対雑音比(S/N比)が低下します。理論上、画素面積が半分になるとS/N比は約3dB(√2倍)低下します。PEN E-P7の画素面積は約10.9μm²、フルサイズ2400万画素機は約34.8μm²で約3.2倍の差があるため、S/N比では約5dBの差が生じます。ISO800まではこの差は目立ちませんが、ISO3200以上で暗部のノイズ差が認識できるレベルになります。日中の屋外撮影(ISO200〜800)ではフルサイズとの画質差を感じる場面はほぼありません。
TruePic VIIIのノイズリダクション処理|ISO6400まで実用できる理由
画像処理エンジンTruePic VIIIは、センサーから読み出したRAWデータに対して空間周波数ベースのノイズ除去を行います。高周波成分(ディテール)を保持しながら、低周波のランダムノイズを選択的に除去する処理です。ISO3200までは輝度ノイズ・色ノイズともにJPEG出力で十分に抑制されており、A3プリント(297×420mm)でも破綻しません。ISO6400では輝度ノイズが微増しますが、SNS投稿やL判プリントでは問題ないレベルです。ISO12800以上ではディテールの損失が目立ち始めるため、RAW撮影でLightroomなどの現像ソフトを使ったノイズ処理を推奨します。実用上のISO上限は、JPEG撮影ならISO3200、RAW現像前提ならISO6400が目安です。
プロファイルコントロール機能|カラーとモノクロの色表現を物理フィルタなしで再現
PEN E-P7にはプロファイルコントロール機能が搭載されており、カラープロファイル4種(i-Finish、Vivid、Natural、Flat)とモノクロプロファイル4種(モノクロ1/2、モノクロ1+粒状フィルム効果、モノクロ2+粒状フィルム効果)の計8種類を、ボディ前面のダイヤルで切り替えられます。モノクロプロファイルはフィルム時代のモノクロ写真の粒状感をデジタル処理で再現するもので、ISO感度に連動して粒状ノイズのサイズが変化します。ISO200では微細な粒子、ISO1600では粗い粒子となり、フィルムの物理的特性を模倣しています。色温度やコントラストの調整はJPEG生成時に適用されるため、RAWデータには影響しません。後からの変更を想定する場合はRAW+JPEGの同時記録を設定してください。
| ISO感度 | 輝度ノイズ | ディテール保持 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| ISO200〜800 | 極小 | ◎ | A3プリント・大判出力 |
| ISO1600〜3200 | 微小 | ○ | L判・2L判プリント・SNS |
| ISO6400 | 中程度 | △ | RAW現像前提・SNS |
| ISO12800〜25600 | 大 | × | 緊急時のみ |
オリンパスのカメラ ペンで使えるレンズ群|換算倍率2倍を活かす選び方
標準ズーム14-42mm EZ|換算28-84mmを93gで持ち歩ける光学設計
PEN E-P7のレンズキットに付属するM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZは、フルサイズ換算28-84mm相当の画角をカバーする電動式パンケーキズームです。収納時の全長はわずか22.5mmで、重量は93gです。電動ズーム方式を採用することで、沈胴機構と合わせてレンズの全長を極限まで短縮しています。開放F値はワイド端F3.5、テレ端F5.6ですが、日中の屋外撮影ではISO200〜400の範囲で十分な光量が確保できるため、実用上の問題はありません。フルサイズ用の標準ズーム(24-70mm F4クラス)が平均350〜500gであることを考えると、約1/4〜1/5の重量で同等の画角をカバーしています。日常のスナップや旅行撮影にはこのレンズ1本で対応可能です。
単焦点レンズ25mm F1.8|換算50mmの標準画角でF1.8のボケが手に入る
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8は、フルサイズ換算50mm相当の標準画角を持つ単焦点レンズです。重量137g、全長42mm、フィルター径46mmというコンパクトさが特徴です。開放F1.8で撮影した場合のボケ量は、フルサイズ換算で約F3.6相当の被写界深度になります。これはマイクロフォーサーズのセンサーサイズに起因する物理的な制約です。ただし、テーブルフォト(被写体距離30〜50cm)では背景が十分にぼけますし、ポートレート(被写体距離1.5〜3m)でも背景の分離は得られます。解像性能は開放F1.8から中心部で高い解像力を示し、F2.8まで絞ると周辺部も含めてほぼ均一な解像度になります。価格も約3万円台と手頃で、最初に追加する1本として適しています。
望遠ズーム40-150mm F4.0-5.6 R|換算80-300mmを113gで実現する設計
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 Rは、フルサイズ換算80-300mm相当の望遠域を113gでカバーするレンズです。フルサイズ用の70-300mmクラスが平均600〜800gであることを考えると、約1/6の重量です。この軽量化はイメージサークルの縮小効果に加え、プラスチックマウントの採用によるものです。プラスチックマウントは金属マウントに比べ耐久性で劣りますが、日常使用で問題になることはまれです。開放F値はF4.0-5.6と暗めですが、換算300mmでの手持ち撮影には1/600秒以上のシャッタースピードが必要となるため、日中屋外であればISO400〜800でF5.6でも十分な露出が得られます。ボディ内手ぶれ補正との組み合わせで、1/150秒程度まで手持ち撮影が可能です。
イメージサークル:レンズがセンサー面に投影する円形の像の直径。センサーサイズより大きいイメージサークルを持つレンズでないと、画像の四隅が暗くなる(ケラレ)。マイクロフォーサーズはイメージサークルが小さくて済むため、レンズを小型・軽量に設計できます。
オリンパスのカメラ ペンのボディ内5軸手ぶれ補正|4.5段分の効果を数値で理解する
5軸補正の各軸が対応するブレの種類|角度ブレ・シフトブレ・回転ブレの違い
PEN E-P7の5軸手ぶれ補正は、ヨー(水平方向の角度ブレ)、ピッチ(垂直方向の角度ブレ)、水平シフト(水平方向の平行移動ブレ)、垂直シフト(垂直方向の平行移動ブレ)、ロール(光軸周りの回転ブレ)の5種類のブレに対応します。通常の手持ち撮影で発生する手ブレの約80%は角度ブレ(ヨーとピッチ)で、これはレンズ内手ぶれ補正でも対応できます。残りの約20%はシフトブレとロールブレで、これらはボディ内補正でなければ対応できません。マクロ撮影のように被写体距離が短い場合、シフトブレの影響が相対的に大きくなるため、ボディ内5軸補正のメリットが特に発揮されます。被写体距離30cmのマクロ撮影では、シフトブレの影響が通常撮影(被写体距離3m)の約10倍になります。
4.5段分の補正効果とは|シャッタースピード換算で1/8秒の手持ち撮影が可能になる計算
「4.5段分」とは、手ぶれ補正なしで手ブレが発生するシャッタースピードに対して、2^4.5≒22.6倍遅いシャッタースピードまで手持ち撮影が可能になるという意味です。一般に手ブレ限界は「1/(焦点距離×2)秒」と言われます。換算50mm(実焦点距離25mm)のレンズでは、手ぶれ補正なしの限界が約1/100秒です。4.5段分の補正が効くと、1/100÷22.6≒1/4.4秒、つまり理論上は約1/4秒まで手持ち撮影が可能です。ただし、これはCIPA基準の測定値であり、実際の撮影では個人の保持技術や姿勢に依存します。安定的に成功するラインとしては、理論値の1〜1.5段分を差し引いたシャッタースピード、つまり1/8〜1/15秒が現実的な限界です。
実はレンズ内手ぶれ補正と併用できない|PEN E-P7の補正の制約
意外と知られていない点ですが、PEN E-P7はボディ内手ぶれ補正とレンズ内手ぶれ補正のシンクロ補正(協調制御)に対応していません。シンクロ補正はOM-1やOM-5などの上位機種に搭載されている機能で、ボディ内とレンズ内の補正を協調させて最大8.0段分の補正効果を得るものです。PEN E-P7でレンズ内手ぶれ補正搭載レンズを装着した場合、自動的にレンズ内補正が優先されるか、ボディ内補正のみが動作します。このため、手ぶれ補正の効果は最大4.5段分が上限です。上位機種との差別化ポイントであると同時に、PEN E-P7の価格を抑える要因にもなっています。手ぶれ補正の段数だけでカメラを選ぶ場合は、OM-5(最大6.5段、シンクロ補正対応)が上位の選択肢です。
手ブレ限界の目安:手ぶれ補正なしの場合「1/(換算焦点距離×2)秒」が手ブレ限界です。PEN E-P7のボディ内補正4.5段分を加味すると「1/(換算焦点距離×2)÷ 2^4.5」秒まで撮影可能。換算50mmなら1/100秒→約1/4秒、換算300mmなら1/600秒→約1/25秒が理論限界です。
オリンパスのカメラ ペンで撮るシーン別設定ガイド|ポートレートから夜景まで
ポートレート撮影|25mm F1.8で被写体距離1.5mの設定値
PEN E-P7でポートレートを撮影する場合、M.ZUIKO 25mm F1.8(換算50mm)との組み合わせが最適です。被写体距離1.5mで開放F1.8に設定すると、被写界深度は約8cmになります。顔全体にピントを合わせるにはやや浅いため、F2.0〜F2.8に絞ることで被写界深度を約10〜16cmに広げ、両目にピントが合いやすくなります。日中屋外であればISO200、シャッタースピード1/1000〜1/2000秒で適正露出が得られます。曇天時はISO400に上げて1/500秒程度。室内のポートレートではISO800〜1600、シャッタースピード1/125秒が目安です。PEN E-P7のタッチAFを使い、液晶画面で瞳の位置をタッチすれば素早くピントが合います。フルサイズ機のF1.4レンズのような大きなボケは得られませんが、被写体と背景の距離を2m以上確保すれば背景は十分に分離します。
風景撮影|パンフォーカスでF5.6〜F8.0を使う物理的な理由
風景撮影では画面全体にピントが合うパンフォーカスが基本です。14-42mm EZのワイド端14mm(換算28mm)でF5.6に設定すると、過焦点距離は約1.8mとなり、0.9mから無限遠までピントが合います。F8.0まで絞ると過焦点距離は約1.3mに縮まり、0.65mから無限遠までカバーできます。F8.0以上に絞ると回折の影響で解像度が低下し始めます。マイクロフォーサーズの回折限界はF値で約F11付近で、F11を超えると回折ボケがセンサーの画素ピッチ(3.3μm)を超え、像がぼやけ始めます。フルサイズ機ではF16〜F22まで絞っても回折が目立ちにくい場合がありますが、PEN E-P7ではF5.6〜F8.0の範囲に留めるのが解像度を最大化する設定です。ISO200、シャッタースピードは三脚使用なら自由、手持ちなら1/60秒以上を確保してください。
F値を絞りすぎて回折ボケが発生:「風景はF16まで絞れば安心」というフルサイズ機の常識をPEN E-P7に適用すると、回折の影響で解像度が低下します。マイクロフォーサーズではF8.0を超えると回折の影響が出始め、F11以上では明らかに像が甘くなります。F5.6〜F8.0の範囲で撮影しましょう。
夜景・低照度撮影|手ぶれ補正4.5段分を活かしたスローシャッター設定
夜景撮影では低ISO感度での画質維持と、手ぶれ補正を活かしたスローシャッター撮影の2つのアプローチがあります。三脚使用の場合はISO200、F8.0、シャッタースピード2〜8秒で撮影すれば最高画質が得られます。手持ちの場合は、14mm(換算28mm)でボディ内手ぶれ補正を活かし、ISO800〜1600、F2.8〜F4.0、シャッタースピード1/8〜1/4秒の設定が現実的です。ISO1600以下であればノイズは許容範囲内で、手ぶれ補正4.5段分の効果でシャッタースピード1/8秒でも成功率は約70〜80%です。より確実に撮りたい場合は1/15秒に設定し、ISO3200まで上げることで成功率を90%以上に高められます。夜景ポートレートでは被写体ブレ防止のため、シャッタースピード1/60秒以上を維持し、ISO感度で調整してください。
動体撮影|連写速度8.7コマ/秒とAF追従の実力値
PEN E-P7の連続撮影速度はメカシャッターで最高約8.7コマ/秒、電子シャッターで約15コマ/秒です。C-AF(コンティニュアスAF)使用時はメカシャッターで約6.2コマ/秒に低下します。AF方式はコントラストAFで、像面位相差AFを搭載する上位機種(OM-1:最大120コマ/秒、1053点位相差AF)と比較するとAF追従性能は控えめです。コントラストAFは精度が高い反面、動きの速い被写体への追従はやや苦手で、直線的に近づいてくる被写体(正面から走ってくる人、電車の正面など)では合焦が遅れる場合があります。横方向に移動する被写体であれば、事前にAFターゲットを移動方向に先行配置し、シャッタースピード1/500秒以上で連写すれば歩留まりを改善できます。子どもの運動会(走行速度3〜5m/秒)程度であれば実用範囲です。
| シーン | F値 | SS | ISO |
|---|---|---|---|
| ポートレート(屋外日中) | F2.0〜2.8 | 1/1000 | 200 |
| 風景(三脚) | F5.6〜8.0 | 1/125 | 200 |
| 夜景(手持ち) | F2.8〜4.0 | 1/8〜1/15 | 800〜1600 |
| 動体(子ども・ペット) | F4.0〜5.6 | 1/500〜1/1000 | 400〜800 |
| テーブルフォト | F2.0〜4.0 | 1/125 | 200〜800 |
オリンパスのカメラ ペン購入前に知るべき注意点と失敗回避策
電子ビューファインダー非搭載|日中屋外で液晶が見えない問題の対処法
PEN E-P7にはEVF(電子ビューファインダー)が搭載されていません。3.0型の背面液晶のみで構図を確認する仕様です。液晶の輝度は約500cd/m²程度で、直射日光下(周囲照度80,000〜100,000ルクス)では表示が見えにくくなります。対処法は3つあります。1つ目は外付けビューファインダーVF-1(別売、フルHD約236万ドット)の装着ですが、PEN E-P7にはアクセサリーポートがなく、VF-1は非対応です。そのため、2つ目の方法として液晶モニター用フードの装着が現実的です。サードパーティ製の3.0型用モニターフードが2,000〜3,000円で入手でき、液晶への直射日光を遮断します。3つ目は液晶の明るさ設定を最大にする方法ですが、バッテリー消費が約20%増加するため、予備バッテリーの携帯を推奨します。EVFが必須の撮影環境(日中屋外での本格的な撮影)が多い場合は、EVF内蔵のOM-D E-M10 Mark IVを検討してください。
バッテリー持続枚数309枚の現実|予備バッテリーが必須になる物理的理由
PEN E-P7のバッテリーはBLS-50(容量1210mAh)を使用し、CIPA基準で約309枚の撮影が可能です。フルサイズミラーレス機の平均的な撮影枚数(400〜500枚)と比較すると約60〜70%の水準です。バッテリー容量が小さい理由はボディの薄型化にあり、バッテリー室の厚みを約18mmに抑えるためにセルの容量が制限されています。USB給電に対応していますが、USB充電中は撮影できません。半日以上の撮影や旅行では予備バッテリーを1〜2個携帯することを推奨します。BLS-50は1個あたり約3,000〜4,000円で、サードパーティ製互換バッテリーも流通していますが、容量公称値の80〜90%程度の実測値になるケースが報告されているため、純正品が確実です。
4K動画30fpsの撮影制限|連続撮影時間29分と熱停止の関係
PEN E-P7は4K(3840×2160)30fpsの動画撮影に対応していますが、連続撮影時間は最大29分59秒です。これはEU関税分類上の理由(30分以上録画できるとビデオカメラに分類され関税率が変わる)に由来する制限です。また、4K撮影時はセンサーとプロセッサの発熱により、室温25℃環境で約20〜25分程度で熱警告が表示され、温度上昇が続くと撮影が自動停止します。これはセンサー温度が約60℃に達すると保護回路が動作するためです。対策としては、撮影の合間にカメラの電源を切って放熱する、直射日光を避ける、連続撮影を10〜15分ごとに区切る、といった方法があります。動画撮影がメインの用途であれば、放熱設計が強化されたOM-5やOM-1を選択するべきです。
予備バッテリーなしで終日撮影に出かける:PEN E-P7のバッテリー持続枚数はCIPA基準309枚です。観光地で1日300〜500枚撮影する場合、午後には電池切れになります。BLS-50予備バッテリーを1個以上携帯し、モバイルバッテリーによるUSB給電も予備手段として用意しておくと安心です。
まとめ:オリンパスのカメラ ペンは「小型軽量×実用画質」を物理法則で両立した1台
オリンパスのカメラ ペンE-P7は、マイクロフォーサーズ規格の物理的特性を最大限に活かし、337gのボディに2030万画素・5軸手ぶれ補正4.5段分を凝縮したミラーレスカメラです。センサー面積がフルサイズの約1/4であることを、レンズシステムの小型化と被写界深度の深さという形でメリットに変換しています。フルサイズ機に対して高感度ノイズ耐性やボケ量では物理的に不利ですが、ISO3200までの常用感度域とF1.8単焦点レンズの組み合わせで、実用上十分な画質と背景分離が得られます。
この記事の要点を整理します。
- マイクロフォーサーズのイメージサークルはフルサイズの約1/2で、レンズ重量を理論上約1/8に削減可能。実測でも30〜60%の軽量化を達成
- 焦点距離換算2倍により、150mmレンズでフルサイズ300mm相当の望遠域をカバー。超望遠撮影のコストと重量を大幅に削減
- 画素ピッチ3.3μmのセンサーはISO800まではフルサイズとの画質差が識別困難。ISO3200がJPEG撮影の実用上限、RAW現像前提ならISO6400まで
- ボディ内5軸手ぶれ補正4.5段分で、換算50mmなら約1/8〜1/15秒の手持ち撮影が可能
- 風景撮影はF5.6〜F8.0でパンフォーカス。F11以上は回折ボケが発生するため避ける
- EVF非搭載のため日中屋外では液晶フードの装着を推奨。バッテリー309枚は予備1個以上の携帯で対策
- 動体撮影はコントラストAFのためC-AF連写で約6.2コマ/秒。子どもの運動会レベルなら対応可能
まずは付属の14-42mm EZレンズキットで、ISO200・Aモード(絞り優先)・F5.6に設定して屋外スナップから始めてください。PEN E-P7の操作に慣れたら、25mm F1.8単焦点レンズを追加して背景ボケのある写真に挑戦し、そこから自分の撮影スタイルに合わせてレンズを増やしていくのが最も効率的なステップアップの順序です。
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